2007 Fiscal Year Annual Research Report
移行経済国における「市場形成」の進展、課題、政策と日本の協力
Project/Area Number |
17330066
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
駿河 輝和 Kobe University, 国際協力研究科, 教授 (90112002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 清一 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (90134197)
金子 由芳 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (10291981)
松永 宣明 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (80127399)
高橋 基樹 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30273808)
三重野 文晴 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (40274906)
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Keywords | 教育の収益率 / 民間部門 / 海外直接投資 / 国際貿易 / コーポレートガバナンス / モデル法 / 労働市場 |
Research Abstract |
モンゴルとラオスにおいて、移行経済過程の労働市場の形成と教育の関係について調査した。両国の一人当たりGDPは同程度で、基礎教育の普及には困難な条件をともに抱えている。しかし、両国の教育水準は大きく異なり、モンゴルの方が高い。両国の教育投資の収益率は発展途上国平均に比べて低いが、ラオスは移行国平均程度であり、モンゴルは高い部類に入る。市場経済の発展とともに教育の収益率は上昇しており、若い世代の方が収益率は高い。特に民間部門の発達が収益率に大きな影響を与えている。教育の収益率が極めて低い公共部門中心の経済から民間部門と労働市場の発達へと移行するとともに収益率は上昇している。したがって、教育に対する需要が高まり、教育水準の上昇へとつながっていくと考えられる。 移行過程において、市場取引秩序の基盤をなす経済法制の改革が推進されたが、この過程で国際機関の米国法の色彩の濃い「モデル法」を作成して、導入の圧力をかけた。コーポレートガバナンス法制もこの典型的な領域である。モデル法の内容的限界や現地経済実態との乖離を明らかにし、現地主体の制度構築努力を阻害する要因となっていることを指摘した。 ミャンマーの市場経済への移行は一連の開放政策とともに始まった。1988年に民間部門が国際貿易に従事することや近隣諸国との国境貿易が認められた。それに続いて、外国の投資も認められた。その後、国際貿易は増加したが、輸入の伸びのほうが高く貿易赤字に苦しむこととなる。しかし、2000年以降、縫製産業と天然ガスの輸出が急速に伸び、貿易赤字も改善された。海外直接投資は天然ガスの開発に重要な貢献をした。国際貿易と海外直接投資はミャンマー経済に大きな影響を与えたが、持続的発展のエンジンとはまだなりえていないことを明らかにした。
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Research Products
(7 results)