2005 Fiscal Year Annual Research Report
北米における地域イノベーション・システムとその経済効果に関する実証研究
Project/Area Number |
17330067
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
明石 芳彦 大阪市立大学, 大学院・創造都市研究科, 教授 (00150970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 悟 大阪市立大学, 大学院・創造都市研究科, 教授 (40180418)
宮田 由紀夫 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (20278584)
長尾 謙吉 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (50301429)
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Keywords | 双子工場 / マキラドーラ / ティファナ / サンディエゴ / バイオ・クラスター / UCSD / イノベーション・クラスター / ボーダー・エコノミー |
Research Abstract |
今年度はアメリカ西海岸の南端であるサンディエゴ地区とメキシコ側のティファナ地区の「双子工場」および当地機関の地域イノベーション効果を現地訪問調査した。ティファナは弱電産業を中心としてきた「双子工場」で著名だった。とくに、ティファナ等地域は世界最大のテレビ生産拠点を形成してきた。しかし、日系企業は生産するテレビを薄型化し、基幹部品を日本・東アジアから輸入しており、現地ではもっぱらの組立生産という構造は地域経済に労働力需要以外の効果を及ぼしていない。一方、日系企業がティファナ地域で生産する利点も、貿易上の優遇措置と日米貿易摩擦の回避、北米市場への近接地だったが、近年メキシコ政府の政策姿勢の変更や中国での低価格生産という新たな要因が大きくなり、その意義を相当に減価させている。実際、弱電関連では企業集積も低下している。メキシコ政府は長期的な産業育成政策をとっておらず、雇用労働者の表面的保護もそのスキル向上や技術者育成につながっていない。現地企業が投資する傾向を持たないことも一因である。 サンディエゴ側は、バイオ関連産業と無線通信産業の企業集積が顕著である。ラホヤ地域におけるバイオ関連研究機関の研究成果は全米でも最高水準である。また、研究成果の事業化や関連企業の集積も進んでいる。一部バイオ企業は医療関連機器の量産工場をメキシコ側に設立している。卓越した研究大学の存在、一年間を通じた気候の良さ、車で2時間半ほどで大都市ロサンジェルスに行くことができる立地の良さ、カリフォルニア州に共通する開放的気質などが集積要因と考えられる。ハイテク・クラスターとしてのサンディエゴでは、バイオ、テレコム、ITに関する企業が1000社以上も集積し、大量のスピンオフ連鎖を伴い、多数のベンチャー企業が輩出されている。UCSD大学の関連機関コネクトが新規事業の急成長を促進するべく、積極的な役割を演じている。
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Research Products
(5 results)