2005 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権が社会保障システムの効率性・衡平性に与える影響の分析
Project/Area Number |
17330072
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
泉田 信行 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第一室長 (70360716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椋 正立 法政大学, 経済学部, 教授 (90152446)
西村 幸満 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第2室長 (80334267)
澤野 孝一郎 名古屋市立大学, 経済学部, 助教授 (80336354)
熊谷 成将 近畿大学, 経済学部, 助教授 (80330679)
星 敦士 甲南大学, 文学部社会学科, 講師 (90411834)
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Keywords | 地方分権 / 社会保障 / 地方自治体 / 行政能力 / 効率と衡平 |
Research Abstract |
今年度は初年度であり、基礎的知見の蓄積に努めた。地方分権にかかる経済学的な研究について澤野論文がサーベイし、市町村合併による規模拡大はかえって住民自治を制約するのではないか、等の仮説を検証すべきであると指摘している。地方分権による地方自治体のインセンティブの変化について、泉田論文が整理している。 国と地方自治体の関係については、小椋・川瀬論文が地域医療計画による病床規制を例にとって分析している。入院医療費と病床数は極めて強い相関があり、病床数は国が定める一律の算式によって上限が決められている。彼らの分析は病床規制による病床数の抑制効果はないことを示し、地方自治体は負担する医療費支出を制御できない可能性を示唆している。 財政面については佐藤論文が基礎的な分析を行っている。社会保障支出は地方自治体も行っているが、その詳細は明らかではない。佐藤論文は地方単独分を含んだ社会保障給付費の推計に向けて概念整理を行っている。 熊谷論文は代表的な地方公営事業である公立病院について、費用最小化する病床利用率、病床利用率の中位値を算出している。これらから医療費用の削減可能額、公立病院に投入される補助金の削減可能額などが計算可能となる。 現在の地方自治体で大きな課題は介護である。西村論文は稲城市の高齢者の実態についてアンケート調査の再集計により基礎的な知見を得ている。星論文は稲城市の高齢者について親族や近隣との関係が健康感との関係、その反映としての行政ニーズ、について検討している。自治体としての稲城市の介護への取り組みについては石田論文がまとめているが、この論文は稲城市の実態紹介を超えて自治体と国の施策の関係や自治体のあり方にも示唆を与える論文である。介護に関する今後の研究の方向性については斉藤論文が示唆を与えている。 生活保護の問題は論争が発生あるが、その本質について漆原論文が整理している。
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Research Products
(1 results)