2006 Fiscal Year Annual Research Report
インフレ・ターゲティング政策と経済安定化-アジア諸国の経験と日本への影響-
Project/Area Number |
17330073
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
地主 敏樹 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60171089)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 賢 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (30229067)
宮尾 龍蔵 神戸大学, 大学院・経済経営研究所, 教授 (40229802)
三重野 文晴 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (40272786)
石垣 健一 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (40047486)
藤原 秀夫 同志社大学, 商学部, 教授 (10104613)
|
Keywords | インフレ目標 / 金融政策 / 経済安定化 / アジア / 日本経済 |
Research Abstract |
本年度は、インフレ目標を実施している国として、フィリピンを訪問して、その政策運営の内容を調査した。韓国も3月に訪問予定である。フィリピンに関しては、海外で勤務しているフィリピン人からの送金がGDPに比して非常に大きいという特殊事情があることが判明した。為替レートの安定化が重視される可能性を考慮にいれて、これから分析していく。政府からの独立性の検討も重要である。韓国については、最近、インフレを安定化させるための利上げが繰り返されているが、韓国ウォンの対外価値が上昇している。経済にとっての輸出の重要性が高い中、中央銀行への政治圧力が高まり易い状況なので、現地調査で明らかにしたい。 インフレ目標を実施していないアジアの国々である、カンボジア・ラオスおよびベトナムの3ヶ国についても、アジア開発鋲行と協力して、金融政策の調査を行いつつある。カンボジアとラオスについては、国内でもドル貨幣が流通しており、銀行預金も高い比率でドル建てとなっている。これら2国と比べると低率であるが、ベトナムでもドル貨幣は流通している。ドル化が進んだ状態では、金融政策の運営における為替レートの安定化のウエイトが高くなると予想される。実際、これらの国々では管理フロート制が採用されて、各通貨の対ドルレートが極めて安定している。3国ともに移行経済であるので、他のアジア諸国と比べても、リアルタイムのデータ整備が遅れているという特殊事情も明らかになった。通常のインフレ目標の採用は難しいが、対ドルレートの安定化を図ることで、結果的にインフレ率も安定化しているのが実情である。ドル化には貨幣発行収入の減少のようなマイナス面もあるので、国内金融政策運営の整備の方法を検討していきたい。
|