2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17330074
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 光明 慶應義塾大学, 政策総合学部, 教授 (00265927)
金子 隆 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (90118935)
鷹岡 澄子 成蹊大学, 経済学部, 専任講師 (10361677)
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Keywords | 社債市場 / 引受業務 / 株式市場 / IPO / ミスプライシング / 金利ボラティリティ / スプレッド |
Research Abstract |
2006年度の研究成果を下記の4点に分けることができる。 (1)2005年度に続いて、メインバンクと引受業者との関係(融資関係と株関係)や金利ボラティリティは普通社債の引受手数料、発行スプレッドと引受業者の選択にどのような影響を与えるか、その結果はモデルの特定化によって頑健かどうかを調べ、矛盾しそうな結果をどのように解釈すれば良いかを検討した。 (2)既存の研究では、引受業者の役割(書類作成の専門家、流通サービス提供者、保険サービス提供者、保証提供者、評判提供者)について色々言われているが、日本社債に関する既存の研究と本プロジェクで得られた成果を踏まえ、社債市場において引受業者が何の役割を果たしているかという包括的な分析を開始した。暫定的な結論として、米国と違って保証提供を支持する研究結果はなく、引受業者の選択結果を見る限り、流通サービス提供という役割を支持する証拠はあるが、だれも評判提供の役割を分析していないことが明らかになった。 (3)日本企業が社債を発行する場合、新規発行で使う引受業者と第2回目で使う引受業者が同じになるのか、変えるかという決定は何に依存するかを検討した結果として、第1回と第2回との発行の間に、第1回目の社債を引き受けた企業の格付けが悪くなったり、第1回目のオバープライシングが大きくなったりすると、第1回目の社債を引き受けた企業が選ばれる可能性が高くなることを明らかになった。 (4)証券会社が落札加重平均を割り引く形で非入札株の公開価格を決定するようになった1993年以降のIPOを対象に、公表された入札結果をもとに非入札株の需給均衡価格を推定したところ、公開価格と一致しているという証拠が得られた。just-pricingなのに平均で11%強の初期収益率が実現した仮説として、新規公開株の場合、投資家の「平均的意見」が公開前の段階では不正確にしかわからないため、個々の投資家は、たとえ「自分の意見」に自信があっても、平均的意見を反映して決まる株価がどの水準にあるのかについて自信が持てず、そのため新規公開株に対するビッドを低めに提示する。すべての投資家がビッドを自分の意見より低めに提示し、それをもとに公開価格が決定される一方で、公開初日に投資家の平均的意見を反映する形で株価が決定されるので、結果的に高い初期収益率が実現するということである。仮説の妥当性を検証したところ、強力に支持する結果が得られた。
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Research Products
(4 results)