2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17330074
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 光明 明治学院大学, 国際学部, 教授 (00265927)
金子 隆 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (90118935)
|
Keywords | 社債市場 / 引受業務 / 株式市場 / IPO / ミスプライシング / 金利ボラティリティ / スプレッド |
Research Abstract |
2007年度の研究成果を下記の3点に分けることができる。 (1)社債の新規発行に関して既にオーバープライシング現象が確認されているが、確実発行(seasoned issues)に関しても確認された。新規発行の時、発行企業業又は価格設定に関して情報が少ないはずなので、確実発行に比べてオーバープライシングが大きいという仮説を立てたが、必ずその仮説が支持されると言えない。新規発行の場合と同様に、確実発行のオーバープライシングは、発行条件が決まる時点での金利変動制と発行条件が決まる時点と社債が最初に流通市場で取引される時点との間に起こる金利変動制の変化にかなり依存することが明らかになった。 (2)社債市場における引受業者の役割についての論文("The Role of Underwriters in the Japanese Corporate Bond Market")を日本経済学会春季大会と京都大学経済研究所のマクロ経済学・経済システム研究会において発表したところ、モデルの理論的な根拠、1997年の金融(信用)危機や引受手数料と発行スプレッドとのトレートヂドオフについての指摘を受け、実証分析の部分的なやり直しを行った。 (3)金子(2007)によって指摘された謎一部分入札方式下のIPOは公開価格が適正値付けされているにもかかわらず高い初期収益率をもたらしているという現象は、既存のIPO理論ではまったく説明できないため、これを説明するための仮説をより精緻な形で展開した。具体的には、IPOとPO(既上場企業による株式発行)の本質的違いに着目し、IPOの場合、投資家(の平均的意見(を反映して決まる市場価格)ガビッド提示時点では不正確にしかわからないため、ビッドを自分の意見よりも低めに提示することでプレミアムを要求するという解釈である。この解釈に従うと、「情報の非対称性」は高い初期収益率現象を説明する上で重要ではなくなる。
|
Research Products
(1 results)