2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17330090
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
加藤 みどり 東京経済大学, 経営学部, 助教授 (50328986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 義也 早稲田大学, 大学院・アジア太平洋研究科, 教授 (30062178)
神田 良 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90153030)
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
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Keywords | MOT / 人材育成 / 知識ネットワーク / 資源ネットワーク / レバレッジコンピテンシー / エンジニアコンピテンシー |
Research Abstract |
1聞取り調査→コーディング→KJ法による育成要因の分類→データベース化という新解析手法を採用し、データの準定量的扱いが可能になった。これにより、網羅的なコンピテンシーマップを作成した。また、モデル構築の過程で育成要因間の相互および時系列の関係が分析でき、実際には複雑かつ多様な育成の過程を、先行研究のような単純な要因論ではなくダイナミックなプロセスとして扱うことが可能になった。 2聞取り調査結果と先行研究を比較し、日本企業の技術者育成の常識とされていた数項目が、実際には一部しか行われていないことを示した。例えばキャリア形成は組織に依存的とされるが、リスクを勘案した挑戦度の高い計画を提案する者には相当大きい権限が委譲されるという、見えにくい二重構造が存在するとの含意を得た。知の創造を追求する業務の性質上、こうした態度を組織が歓迎する節もある。しかし、これはあくまで暗黙のルールとして存在する。 3調査票調査の再統計解析として、回答者の成果の高低による層別分析を行い、前述した仮説を検証した。また、大きな成果を挙げた人とそうでない人の行動特性等の相違を明らかにした。 以下は最終的な含意の一部である。(1)上司が与える適切な機会が成長を促すが、本人の姿勢がその後を大きく分け、機会と成果の好循環・悪循環を生む。(2)機会付与後のフォローアップの有無や質も成長の成否を分ける。上司の育成能力や、育成の場の構築力はより議論されるべき。(3)成果を挙げた技術者は、自分の業務に留まらず技術が世に出るまでの長いR&Dプロセスを俯瞰し、公式・非公式な手段を適宜組み合わせ構造的な溝の架橋を創発的に行う。彼らが構築したものは、新規の知識・資源ネットワークである。(4)以上はフィールドワークの精査から構築した仮説により明らかになったのであり、研究者の限られた知見による仮説に基づいては解明は困難だっただろう。
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Research Products
(5 results)