2005 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム・ラオス・カンボジアの企業経営におけるAFTA・WTO加盟の対応と影響
Project/Area Number |
17330095
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
上田 義朗 流通科学大学, 情報学部, 教授 (80203454)
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Keywords | 企業経営 / ベトナム / ラオス / カンボジア / 経済統合 / WTO / 東西回廊 / 国営企業改革 |
Research Abstract |
ベトナム・ラオス・カンボジア3カ国に共通したインフラ整備として「東西回廊」の建設が注目されている。これは、インドシナ半島さらに中国(広州)を結ぶ幹線道路であり、AFTA実施とWTO加盟による「経済統合」という新たな環境下における原材料部品・完成品の物流の大動脈になりうる。 平成17年度は、この「東西回廊」の一部を現地調査した。さらに経済統合に伴う企業競争力の強化という観点から、各国における最近の経済環境の実態調査を実施した。また研究脇力者を通してベトナムにおける韓国企業の動向が調査された。その結果は次のように要約できる。 1.ベトナムは国営企業改革を加速するために、その株式会社化を推進し、その一部は株式公開する計画である。このことは国営企業の資金調達を容易にして、国際競争力の強化につながる。民間企業も引き続き業績好調であり、特に日本企業のベトナム進出の増加は第2次投資ブームと呼んでもよい。それに伴って労働力不足や賃金上昇という新たな局面が生まれつつある。 2.ラオスは前述の「東西回廊」の開通によって、タイとベトナムの間の物流センターとして役割を果たす可能性がある。また有力な縫製企業も存在し、さらに数社の日本企業の新たな進出事例もあった。 3.カンボジアはWTO加盟後に対EU輸出を急増させ、大きな恩恵を受けた。さらに中国の縫製企業のカンボジア進出が顕著となり、中国の指導者と原材料が輸出増加に貢献している。 4.ベトナム国内市場向けの韓国製造企業は、WTO加盟に備えた関税引き下げによって低価格の輸入品との競合に悩まされている。ブランド力の劣位を低価格で補うという韓国の戦略が通用しなくなっている。 これら3カ国に共通した主要産業は縫製業である。平成18年度は、この縫製業における3カ国の企業の経営戦略を比較検討する。これによって、AFTA・WTO加盟の対応の類似性と相違点の抽出が期待できる。
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