Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薄井 彰 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90193870)
乙政 正太 東北大学, 大学院経済学研究科, 教授 (60258077)
佐々木 隆志 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (10235252)
大日方 隆 東京大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (20224305)
川村 義則 早稲田大学, 商学学術院, 助教授 (60247244)
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Research Abstract |
本研究の目的は,トライアングル体制による会計制度の問題点を理論的かつ実証的に分析し,それに依拠して会計制度の設計を試みることにある。われわれは,研究成果を『会計制度の設計に関する実証研究』として冊子にまとめ,その内容を2006年9月6日に日本会計研究学会第65回大会で発表した。この報告書は6部構成になっている。最初の5部まで実証研究が展開され,最後の第6部で,実証研究に依拠した会計制度に対する提言が示されている。第1部では会計制度達搬に関する議論を意識した実証研究が掲載されている。重要な発見事項は,会計基準の充実にもかかわらず,近年,会計情報の価値関連性が高まっていないということ,しかし連結会計制度改革は意義があったということである。第2部では,損益計算書に関する実証研究が発表されている。注目したいのは,利益の持続性が近年低下し,利益の質が落ちていると考えられるという発見事項である。第3部では,貸借対照表に関する実証研究が示され,繰延税金資産の中には価値関連性の乏ししものが含まれていること,払込資本と留保利益の区分が債務契約で重視されていること等が議論された。第4部は会計選択に関する実証研究である。退職給付会計で会計基準変更時差異が裁量的に計上され,それが損益計算書の表示にまで及んだこと等が注目される。第5部は,内部統制と監査の品質に関する実証研究であり,アンケート調査の結果,企業は業務手続きの文書化により約1億円のコスト負担を考えていること,すでに7割以上の企業で取引の2重チェックが実施されていることが示された。以上の実証研究にもとづき,第6部で会計制度の設計について議論した。すなわち,最初の3つの章で,会計基準と概念フレームワークなどの問題点を検討し,最後の章で9つのテーマを設け,会計制度について具体的な提言を試みたのである。
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