2006 Fiscal Year Annual Research Report

民営化・市場原理導入による公的対人サービス領域の構造的変化と非営利サービス組織

Research Project

Project/Area Number	17330127
Research Institution	Toyo University
Principal Investigator	須田木綿子東洋大学, 社会学部, 教授 (60339207)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	西田真寿美岡山大学, 看護学部, 教授 (70128065) 森田明美東洋大学, 社会学部, 教授 (70182235) 金子光一東洋大学, 社会学部, 教授 (30255153) 片平洌彦東洋大学, 社会学部, 教授 (30092399) 天野マキ東洋大学, 社会学部, 教授 (50106035)
Keywords	公的サービス / 民営化 / 市場原理 / 非営利組織
Research Abstract	先進諸国では、公的対人サービス(市民が共通して必要とする対人サービス。介護や保育など)の領域で民営化と市場原理が導入され、それに伴って、サービス供給システムの多元化も進行している。わが国で同様の傾向が先鋭化して観察されるのは、介護保険制度が施行された高齢者の長期ケア領域においてである。そこで本研究では、1)介護保険制度導入が、サービス提供活動に従事する非営利組織(社会福祉法人、医療法人、NPO法人)に及ぼす影響を、営利組織等の経営主体の異なる組織との比較において検討し、2)高齢者長期ケア領域に見る公的対人サービス領域の構造的変化の日本的特長を把握することを目的に、縦断的調査を実施する。研究2年目にあたる平成18年度は、前年度の東京都葛飾区での調査にひきつづき、東京都杉並区の介護保険指定事業者全数を対象に調査を実施した。その結果は平成19年11月に米国アトランタで開催される予定の米国NPO学会で報告予定であり、すでに得られた結果の概要は抄録として提出済みである。またこの間、公的サービス民営化に関連して進行しつつある新たな動向としてのソーシャル・エコノミーやソーシャル・エンタープライズに着目し、この領域の研究者を招聘し、また、同様の課題について国際公共経済学会での発表および論文執筆も行った。さらに、非営利組織が事業的要素を強める中で失われつつあると指摘されている非営利組織の社会運動機能について、本学の大畑裕嗣教授らと検討をすすめ、成果を日本NPO学会にて発表した。民営化が推進されつつある保育領域、および米国の生活保護民営化、イギリスの公的サービス民営化政策についても検討をすすめており、イギリスの公的サービス民営化政策をもとに執筆された論文は、本学紀要論文として発表された。