2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340007
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森脇 淳 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (70191062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 健爾 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011655)
加藤 和也 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90111450)
深谷 賢治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30165261)
中島 啓 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00201666)
加藤 文元 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50294880)
|
Keywords | アラケロフ幾何 / 双有理幾何 |
Research Abstract |
本年度は最終年度として,大きな次の三つ前進があった. (1) 算術的体積関数の有理数体上の連続性は,前年度までの研究でわかっていたものであった(論文はJournal of Algebraic Geometryに掲載予定で,電子的なバージョンはジャーナルのホームページより入手可能).この関数が実数体上まで連続的に拡張可能であることを示した.その過程において,前の論文の基本不等式の複指数バージョンを確立した. (2)Yuan, Chenによる算術多様体上の藤田の近似定理をさらに拡張することができた.Yuanによる藤田の近似定理は〓zarsfeld-MustataによるOkounkov凸体の算術化による.Yuanは論文においていわゆる完備な算術的線形系の評価のみを扱っていたが,凸格子の概念の導入により,完備とは限らない算術的線形系の評価にまで拡張できた.その結果,Yuanの論文では未解決であった問題を解決できたことのみならず,算術的制限体積についても藤田の近似定理の類似が示すことができ,その関数の凸性についても証明することができた.その結果,算術的制限体積についてもある適切な開集合上で,連続的に実数体上にまで拡張できることが示せた.これは,(1)の結果の拡張にあたる. (3)アラケロフ幾何において,基本問題は狭義の小さな切断の存在であり,算術的Riemann-Rochの定理の典型的応用例がそれにあたる.さらに,整数環上の大域切断の空間がいつ狭義の小さな切断による基底をもつかもさらなる基本問題の一つである.しかしながら,後者の問題については,あまり多くの結果が知られておらず,Zhangによる結果が知られている唯一のものであった.Zhangの結果は多くのことを仮定しており,例えば,対象となる可逆層が豊富である等は双有理アラケロフ幾何の立場からは,強すぎる仮定といわざるを得ない.しかしながら,本年度の研究により,基点をもたない狭義の切断の族が存在すればよいことがわかり,大きな前進を得た.今後,種々の場面での応用が期待できるものである.論文においては,一つの応用例として,算術的中井・Moishezonの判定法の拡張を取り上げた.
|
Research Products
(1 results)