2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
納谷 信 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (70222180)
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Keywords | ランダム群 / CAT(0)空間 / 固定点性質 / 不変量δ / (動径的)歪み係数 |
Research Abstract |
研究代表者・納谷信は、昨年度に引き続き、連携研究者・井関裕靖(東北大学大学院理学研究科・准教授)、研究協力者・近藤剛史(神戸大学大学院理学研究科・グローバルCOE博士研究員)とともに、グラフモデル(Gromovによる)におけるランダム群の固定点性質に関する研究を継続した。 昨年度までの研究において、CAT($O$)空間の接錐の不変量δ(井関と納谷が論文Combinatorial harmonic maps and discrete-group actions on Hadamard spaces, Geometriae Dedicata 114 (2005), 147-188において導入したもの)が、その歪み係数(ユークリッド空間にできる限り等長的に近くなるように埋め込んだときの等長写像からのずれをはかる不変量)によって上から評価できることを明らかにしていた。ただし、δの定義において考える測度を一様測度に限定する必要があったが、今年度の研究において、動径的歪み係数という量を考えれば、そのように限定せずに定義したδがこの量によって上から評価されることを明らかにした。 あるクラスのユークリッド的ビルディングの接錐の動径的歪み係数を上から評価することにより、それらのδが次元のみによる定数(<1)によって上から押さえられることを示した。このことから、グラフモデルの定義に現れるエクスパンダーが必ずしも正則グラフでない場合(これはランダム群が無限群になることを保証するために必要な設定である)でも、ランダム群が、このクラスに属し、次元が上から押さえられたすべてのユークリッド的ビルディングに対して固定点性質をもつことが従う。 動径的歪み係数の次元nによらない評価を得ることを目指したが、現在までのところ肯定的な結果は得られていない。そこで、δのnによらない評価を得ることを目標に研究を進めているところである。
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Research Products
(2 results)