2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340018
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長友 康行 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (10266075)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 光太郎 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (10221657)
伊藤 光弘 筑波大学, 数理物質科学研究科, 教授 (40015912)
大仁田 義裕 大阪市立大学, 理学研究科, 教授 (90183764)
田崎 博之 筑波大学, 数理物質科学研究科, 助教授 (30179684)
高山 茂晴 東京大学, 数理科学研究科, 助教授 (20284333)
|
Keywords | ASD接続 / ベクトル束 / モジュライ空間 / 四元数多様体 / リー群 / ツイスター空間 / コホモロジーの消滅定理 / 調和写像 |
Research Abstract |
今年度は「モジュライ空間の大域的構成」にとって、本質的な進展といえる調和写像とYang-Mills接続とを関連付ける結果を得ることに成功した。「ツイスター切断の幾何学」から出発してグラスマン多様体への写像の重要性を再確認し、一般にリーマン多様体からグラスマン多様体への写像が調和写像となるための必要十分条件を得た。この定理は、グラスマン多様体が球面であるときには、極小曲面に関する「高橋の定理」を含み、また、グラスマン多様体が複素射影空間である場合には小平埋め込み定理を例として含むものである。 さらに、この定理を利用して、等質空間からグラスマン多様体へのエネルギー密度関数が定数関数となる調和写像の分類を得ることもできた。これはグラスマン多様体が球面のときに知られているde Carmo-Wallachの定理を一般化するものである。また、このとき現れる写像は反自己双対接続のモジュライ空間を記述するAD田構成法で現れる写像と同じものであった。 そこで、四元数ケーラー多様体からグラスマン多様体へのツイスター写像を定義して、これが調和写像となることを示し、またPenrose変換を利用してツイスター写像がツイスター空間からグラスマン多様体への正則写像と対応することを示すことができた。この定理は「ツイスター切断による埋め込み定理」を例として含むものであり、この埋め込みが極小部分多様体となることに対して、以前はHsiang-Lawsonの定理を利用していたが、より幾何学的で本質的な証明を与えたことになる。 「ツイスター切断の幾何学」に関しては論文がTransactions of the A.M.Sに掲載予定であり、また調和写像に関する結果は論文を準備中である。 また、「モジュライ空間の大域的構成」に関する具体例の構成においても成果を挙げることができた。すなわち、四元数ケーラー多様体となる実グラスマン多様体上において、ある位相的条件をみたすベクトル束の許容するASD接続がゲージ変換を除いて一意的であることを示すことができた。この多様体上では別のベクトル束上において、ASD接続のモジュライ空間を構成することに成功していたが、今回はモジュライ空間が一点となるような例を発見できたことになり、この違いを引き起こしているものがなんであるのかを解明することが今後の研究課題となった。この結果に関しても論文を準備中である。 また、「ツイスター切断の幾何学」の類似をコンパクト対称空間上でも展開中である。
|