2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小澤 正直 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40126313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日合 文雄 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30092571)
尾畑 伸明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10169360)
田中 一之 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70188291)
堀田 昌寛 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60261541)
金子 誠 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10007172)
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Keywords | 量子情報 / 量子計算 / 量子完全相関 / 量子測定 / デコヒーレンス / 量子ゲート / 量子推定 / Fisher情報量 |
Research Abstract |
(1)小澤は,量子完全相関の概念を新たに導入して,様々な数学的特徴付けを与えた.量子情報理論への応用として,Hardy非局所性不成立問題の説明が量子完全相関の推移性から得られることを示し,また,量子測定が被測定物理量とその表示物理量の間の量子完全相関を実現することを示した. (2)小澤は,河野らと共同でDiVincenzoらの3量子ビット・デコヒーレンス・フリーシステムにおける19ゲート列量子演算実現法を研究し、これまで未解決であったCNOT演算を実現する制御パラメータの厳密解の存在を証明した.更に、19ゲート列により実現可能なゲートの全体が制御回転ゲートと局所的同等なゲートの全体と一致することを証明し,一般の制御回転ゲートを実現する制御パラメータを明らかにした. (3)日合は,多変数の非可換確率変数に対して自由圧力関数を定義し,そのLegendre変換によって多変数の新しい自由エントロピーを導入し,多変数の自由エントロピーに対するVoiculescuの2通りの方法(行列近似の方法と非可換Hilbert変換の方法)に加えて,第3の方法を提起した. (4)尾畑は,共同研究者とブラウン運動を分解(時間微分+量子分解)して得られる「量子ホワイトノイズ」を理論の出発点とし,非線形ホワイトノイズ方程式を目標として,量子ホワイトノイズを基礎とする作用素論を発展させた. (5)堀田と小澤は,環境系との相互作用による微小雑音を記述する量子チャンネルに対する量子推定問題の研究を行い,ノイズによって乱された量子状態を測定するときノイズの大きさを最適に推定する方法をFisher情報量理論に基づいて与えた.更に,アンシラ系との量子もつれを使用したとき、どの程度推定改良がなされるかを議論し、キュービット系に対して達成可能な改良因子の上限を与えることに成功した.
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