Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日合 文雄 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30092571)
尾畑 伸明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10169360)
田中 一之 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70188291)
堀田 昌寛 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60261541)
金子 誠 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10007172)
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Research Abstract |
1.これまでの研究で,スピン量子ビット上のアダマール・ゲート,否定ゲートなどを角運動量保存法則のもとで実装する場合のゲート非忠実度(1からゲート忠実度の2乗を引いた値)の一般的な下限が得られたが,本研究において,唐澤と小澤は,任意の自己共役ゲート(1量子ビットの自己共役なユニタリ変換)の任意の保存法則のもとでの実装に関するゲート非忠実度一般的な下限を得た。この結果により,スピン1/2の量子ビット上の任意の自己共役ゲートをN量子ビットのアンシラ,または,スピンN/2系のアアンシラと回転不変な相互作用で実装すると非忠実度が1/(4+4N^2)以上になることが導かれる。 2.これまで,環境との相互作用による量子性の脆弱性指標に関する一般の量子状態に適用可能な定義は存在しなかったが,堀田と小澤は,堀田・唐沢・小澤の低ノイズチャンネル推定理論を用いて,フィッシャー情報量に基づき,一般の量子状態に適用可能な自然は脆弱性指標を与えることに成功した。これは入力状態に対する凹性やテンソル積状態に対する加法性など様々な特性があり、解析に対して非常に有用な量となっている。 3.木村,Meister,小澤は,測定相互作用に関する加法的保存量と非可換な物理量の正確な測定の不可能性を示すWigner-Araki-Yanaseの定理を乗法的保存量に拡張して,乗法的保存量と非可換な物理量の正確な測定の不可能性を証明した。更に,乗法的保存量が存在する場合の測定における平均2乗誤差の下限を求め,誤差を小さくするためには,加法的保存量の場合には装置系に含まれる保存量の分散を小さくする必要があったが,乗法的保存量の場合には変動係数(相対揺らぎ)を小さくする必要があることを明らかにした。 4.日合,Mosonyi,小川は,スピン・チェイン上の並行移動不変な有限距離の相互作用のギブス状態に対して大偏差原理を証明し,さらに,スピン・チェイン上の相関のあるギブス状態や有限相関状態に対して,量子仮説検定のチャーノフ型,ヘフディング型,シュタイン型の誤り確率の漸近挙動を統一的な方法で明らかにした。
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