2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340021
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小澤 正直 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40126313)
|
Keywords | 数理物理学 / 数学基礎論 / 量子情報 / 量子計算 / 量子測定 / 不確定性原理 / 量子集合論 / 量子確率論 |
Research Abstract |
1.唐澤、バナクローチェ、小澤は、任意のユニタリゲートの任意の保存法則のもとでの実装に関するゲート忠実度の一般的上限を得て、それがブロッホ球における保存量とユニタリゲートの幾何学的関係と制御系のサイズに依存することを示した。 2.量子チューリング機械と一様量子回路族の計算量的同等性は、量子計算量理論の基本問題であるが、これまでBQPクラス以外のEQPやZQPクラスに対しては未解決であった。西村と小澤は、有限生成一様量子回路族という新しい回路族のクラスを定めて、量子チューリング機械と有限生成一様量子回路族が完全に計算量的に同等であり、BQP, EQP, ZQP等、全ての対応する計算量クラスに対して計算量的同等性が成立することを示した。 3.日合グループは、自由確率、量子情報理論について研究し、以下の成果を得た。(1)射影作用素に対して自由エントロピーを導入し、2つの射影作用素の自由エントロピーと相互自由フィッシャー情報量の間の対数ソボレフ型不等式を示した。(2)量子共分散と量子フィッシャー情報量との関係を考察し,不確定性原理と関連して知られていた不等式を一般化した。(3)サイト間に相関があるKMS状態と有限相関状態に対する量子仮説検定について,各種の漸近エラー限界に関する統一的な研究を行った。 4.尾畑グループは、ボゾンフォック空間上の非有界作用素の生成・消滅作用素に関する微分を導入し、それらの双対として従来の量子確率積分を拡張し、量子マルチンゲール表現定理や作用素の量子確率積分表示を得た。 5.田中グループは、ランダム性に関する計算量的研究を行い、無限列およびランダム実数の計算量変動、及び、部分ランダム性の諸定義の擬同値性に関する成果を得た。 6.堀田は、LOCCと基底状態の量子もつれを用いてエネルギーを転送できる量子プロトコル、量子エネルギーテレポーテーションを提案した。
|