2006 Fiscal Year Annual Research Report
くりこみ群に基づく新しい確率解析の構築のための基盤研究
Project/Area Number |
17340022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 哲弥 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (10180902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 雅好 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (30179650)
梁 淞 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (60324399)
中西 敏浩 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00172354)
宮川 鉄朗 金沢大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (10033929)
名和 範人 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (90218066)
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Keywords | くりこみ群 / 二分木 / スケール極限 / 流体力学極限 / 数理ファイナンス / ブラックショールズ |
Research Abstract |
本研究の目的は,確率過程の漸近的性質の導出の研究を中心にして,最終的にくりこみ群という新しい解析学の可能性を追求することである.本年度はくりこみ群解析,確率連鎖の漸近的性質それぞれの問題を広く探し,また,その実際的な問題への応用も目指した.多岐にわたる本年度の具体的な実績の中からいくつか列挙する. 1.微分差分方程式w_{n+1}'(x)=-w_n(x)^2がスケール極限を持つこと,すなわち,w_n(x)が漸近的にq_n bar{w}(q_n x)のような共形的な振る舞いをすること,を証明した.棒のランダムな逐次二分割の最大破片長の分布の極限定理および枝分かれするランダムウォークの極限定理の問題でもあり,応用上も計算機科学のデータ解析における二分木の問題として重要である.臨界的な初期値に対するスケール極限の存在は言えていないが,その場合についても十分条件を含め,現時点の深さから言える全てのことを究めたと確信する.結果はFunkcialaj Ekvacioj誌に掲載された. 2.確率過程論の統計学への応用についての蓄積を著書「統計と確率の基礎」にまとめた. 3.竹田雅好氏とともに開いている東北確率論セミナーについて,本科研費の支援は2年目となるが,本年度は計11日のべ21人の講師による研究セミナーを開催した.さらに院生諸君の研究会参加や専門家との議論のための旅費支援も加えて,院生教育を通じての確率論研究に大きな成果をあげた.成果は以下のとおり((1)(2)は博士論文,(3)(4)は修士論文). (1)Differentiability of Spectral Functions for Symmetric Markov Processes(土田兼治) (2)Asymptotic Properties of Branching Symmetric Markov Processes(塩沢裕一) (3)Black-Scholesモデルの1つの拡張と無裁定条件(沼澤洋平) (4)格子気体モデルの流体力学極限における拡散係数(佐々木拓郎)
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Research Products
(9 results)