Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯元 清文 九州大学, 宙空環境研究センター, 教授 (20125686)
武尾 実 東京大学, 地震研究所, 教授 (00197279)
加藤 天美 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00233776)
堀田 武彦 大阪府立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (90222281)
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Research Abstract |
KM_20-ランジュヴァン方程式論における揺動散逸原理は時系列の時間発展を記述するモデリング問題で重要である.今までは,一本のパスとしての時系列が与えられた際,時間平均から推定した相関関数に揺動散逸原理を適用し,時系列の定常性を検証する手法Test(S)と,定常性の破れ具合により時系列の異常性を検出するTest(ABN-S)を提唱してきた.しかし,非定常な時間域で解析できないことが問題であった. 今年度は,同種の時系列が複数与えられた際,空間平均から見積もった相関関数に揺動散逸原理を適用し,時系列の等確率性を検証するTest(EP)と,等確率性の破れ具合により異常性を検出するTest(ABN-EP)を提唱した.そして,1984〜1988年のNikkei225構成225銘柄を日本経済のサンプル系列とみて,Test(ABN-EP)を適用したところ,ブラックマンディ直後に,定常でないが等確率性を満たす時期があり,その期間のダイナミクスの推移を調べる糸口ができた. さらに,実際にダイナミクスを調べた.今までの研究で,深部低周波地震や磁気嵐等に対して分離性(奇数次の非線形変換の決定値が偶数次のそれより大きいこと)を見つけていた.これは,固定された各時刻nを終点とする同じ切断長の時系列に対し,階数6の非線形変換を施して決定値を求め,nを動かした関数を描くことで発見した.今年度は,与えられた時系列と階数6の非線形変換を施した時系列を組にした時系列からの決定値を求め,最大の決定値を与える非線形変換の番号を描いたダイナミックグラフを導入し,種々の時系列に適用した.するとNikkei225では,ブラックマンディ後の定常でないが等確率な時期で,2次の変換番号が選ばれた.このことは,株価の安定性に対する指標を与えている可能性がある.深部低周波地震や磁気嵐でも同様な結果が得られたので,来年度,その理由を解明したい.
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