2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340025
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
根上 生也 Yokohama National University, 教育人間科学部, 教授 (40164652)
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Keywords | 位相幾何学的グラフ理論 / 平面被覆予想 / グラフの被覆 / グラフの平面性 / 射影平面的グラフ |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者の根上が1986年に提唱した「平面被覆予想」を組織的に研究し、最終的な解決を図ろうとするものです。その予想は「有限平面的被覆を持つ連結グラフは射影平面に埋め込み可能であろう」というもので、その判定方法すら明らかになっていない性質が多項式時間で判定可能な性質と同値になることを主張している。これまでの研究により、予想に例外があったとしても、数少ない構造に限定されることがわかっている。 本年度はこの研究課題の最終年度なので、これまでの研究成果を総括するために、例年行っている「位相幾何学的グラフ理論研究集会」を「The 20th Workshop on Topological Graph Theory in Yokohams-TGT20」と題する国際会議として開催した。国内外から約100名の参加者があり、そのうち海外からは16名の参加者があった。招待講演者は9名で、位相幾何学的グラフ理論に関する海外の研究動向について講演を行ってもらった。それにより、いくつかの共同研究が生まれている。たとえば、物理学と関連したZhichengの講演に触発されて、中本とMoharは閉曲面上の四角形分割の染色数に関する確率論的な議論を展開している。また、位相幾何学的グラフ理論の手法を用いてグラフの識別数を解析するという議論やある制限のもとで辺どうしの交差を許したグラフの閉曲面への埋め込み(厳密には埋め込みではない)の議論が展開された。 残念ながら、平面被覆予想の完全解決には至らなかったが、それと関連して位相幾何学的グラフ理論におけるたくさんの研究成果を得た。また、国際会議を運営する過程で、平面被覆予想において「被覆」を「分岐被覆Jに置き換えて得られる予想に対しては反例があるという情報を得ることができた。平面被覆予想と同様に、正則な分岐被覆に限定すればその予想が正しいこと証明されていただけに、その情報は衝撃的である。それと同時に、グラフの分岐被覆に関する研究の新たな扉が開かれた。
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Research Products
(3 results)