2006 Fiscal Year Annual Research Report
仮想的変わり点を中心とする高階微分方程式の完全WKB解析
Project/Area Number |
17340035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 隆裕 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (20027379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹井 義次 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (00212019)
青木 貴史 近畿大学, 理工学部, 教授 (80159285)
小池 達也 京都大学, 理学研究科, 助手 (80324599)
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Keywords | Toulouse計画 / 高階パンルヴェ方程式 / (パンルヴェ方程式の)第1種変わり点 / 完全WKB解析 / instanton型 / ガルニエ系 / ハミルトン系 / 両立条件 |
Research Abstract |
当研究課題の中心に位置する"Toulouse Project"、即ち高階パンルヴェ方程式の完全WKB解析による構造の研究の道筋を示したプログラム、に沿って大きな進展があった:高階パンルヴェ方程式(P_J)m(J=I, II, IV; m=1,2,3,…)が、多変数ガルニエ系を適当な複素直線に制限した物となることが小池によって証明され、特にその系として(P_J)mがハミルトン系としての表示を持つことが判った。これにより、竹井によるハミルトン系に対するinstanton型の形式解の構成法が(P_J)mに適用できることとなった。この結果はToulouse Project Part 4:(P_J)mの(2m)-パラメタ解の構成、の完成を意味する。さらにこの結果を踏まえて河合・竹井は以下のような、(P_J)mのinstanton型の解に対する構造定理を示した。これは河合・竹井がAdvances in Mathematics 203(2006)で発表した0-パラメタ解に対する構造定理の本質的な拡張である:(P_J)mの1型単純変わり点τの近くで、ガルニエ系の解の制限として得られる(P_J)mのinstanton型の解であってτと"関連"する物はすべて古典的なI型(2階)Painleve方程式の解に変換できる。この定理は平成18年12月の数理解析研究所研究集会"微分方程式系の代数解析と完全WKB解析"で速報し、現在本論文を執筆中である。これでToulouse ProjectのPart 5の内1型変わり点に関わる部分は完成した。従って次年度の目標はPart 5の後半部分、即ち、2型の変わり点の近くでの構造論、となる。上述の定理の証明の中核となるのは、(P_J)mをその両立条件とする線型微分方程式系の構造論であり、その理論展開に必要な不変量(ρ,σ)の持つ、予定調和としか言い様のない都合の良いinstanton構造を示すことである。
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Research Products
(3 results)