2008 Fiscal Year Annual Research Report
数理物理における代数解析的方法(表現論・組み合わせ論・複素解析を中心として)
Project/Area Number |
17340038
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三輪 哲二 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (10027386)
|
Keywords | XXZ模型 / 真空期待値 / 有限温度 / フェルミオン公式 / Whittackerベクトル / 量子戸田方程式 |
Research Abstract |
Smirnov,神保両氏との共同研究では、前年度に引き続きXXZ模型の研究を行った。${\rm End}(\mathbb C^2)$の無限テンソル積からなる、1次元格子において$-\infty$では$q^{\alpha\sigma^3}$、$\infty$では$1$という境界条件を考えたものを、準局所場と呼ぶ。真空期待値は準局所場の空間における汎函数である。準局所場の空間に作用するフェルミオンの生成作用素が定義出来て、局所保存量の随伴作用とともに、主要場から全体を生成している。真空期待値は、フェルミオンの2点函数によって全ての相関函数が行列式の形に表示出来るという性質を持つ。この性質を持つ汎函数の非常に広いクラスを見いだした。この中には極限として有限温度と$0$でない磁場のもとの分配函数も含まれる。Feigin、Feigin、Mukhin、神保との共同研究では、前年度に続いて、組み合わせ論におけるフェルミオン公式の研究を行った。粒子の間の相互作用がカルタン行列である場合には、表現論的な手法が使える。すなわち、Whittackerベクトルの内積が量子戸田方程式に依って特徴づけられることを示し、それ以外の様々な再帰的関係式を導いた。特に、フェルミオン公式と同等な関係式を導くことに依って、量子戸田方程式の解が、フェルミオン公式を持つことを示した。また、フェルミオン公式の消滅定理を示し、それからフェルミオン公式の準古典近似の展開公式が、有限で等式となるいくつもの場合を証明することができた。
|
Research Products
(3 results)