2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日合 文雄 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30092571)
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Keywords | 自由確率論 / 作用素環 / ランダム行列 / 自由エントロピー / 自由エントロピー次元 / 自由情報量 / 量子フィッシャー情報量 / 無限分解可能 |
Research Abstract |
自由確率変数の漸近モデルであるランダム行列や, 自由確率論に固有なエントロピーである自由エントロピーを基に, 自由確率論の研究を行った. 関連して, 作用素論, 作用素環, 量子情報理論についても研究した. 平成20年度の成果は以下の通りである. (1)日合・植田は自己共役作用素に対するVoiculescuのマイクロ状態を用いた自由エントロピーの射影作用素に対する修正版を導入し, その基本性質を調べた. 2つの射影作用素の自由エントロピーとVoiculescuのliberation理論における相互自由フィッシャー情報量の間の一種の対数ソボレフ不等式を示した. 上記の射影作用素に対する定義を一般化した自己共役作用素の軌道アプローチによる自由エントロピー(次元)と通常の自由エントロピー(次元)の間に成立する関係式を与えた. (2)日合とPetz(研究協力者)は量子共分散と量子フィッシャー情報量との関係を考察し, 不確定性原理と関連して知られていた不等式を一般化した. 正定値行列のなす多様体上に行列の種々の平均と関連して定義されるリーマン計量についての測地最短距離や測地最短曲線の公式を与えた. (3)洞と尾畑は成長する正規グラフの隣接行列の漸近スペクトル分布を量子確率論的手法で求めた.尾畑はJiとの共同研究で, 生成・消滅微分の概念をフォック空間作用素に導入し, 白色ノイズの微分を調べた. (4)幸崎は実数直線上の正定値関数が無限分解可能であるための有用な判定条件を与え, 作用素の平均に関する研究で現れる多くの正定値関数が無限分解可能であることを示した. (5)山上は状態の平方根の間の推移振幅を作用素環の表現論と関連させて研究し, 正値形式の幾何平均に基づく変分表示を用いて, 推移振幅の近似公式を与えた.
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Research Products
(13 results)