2008 Fiscal Year Annual Research Report
カオスと大自由度力学系の理解のための力学系の大域的分岐の研究
Project/Area Number |
17340045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國府 寛司 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (50202057)
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Keywords | 力学系 / 分岐 / 大域的構造 / 計算機援用 / 位相計算法 / グラフ・アルゴリズム / 精度保証付き計算 / ホモロジー |
Research Abstract |
本年度の研究成果は,主として力学系の様々な大域的構造に対する計算機援用解析の新しい方法の開発に関するものであり,次の2点にまとめられる. (1)力学系のデータベース・スキーマの開発:写像によって定義される力学系の多次元パラメータ族について,相空間とパラメータ空間を有限サイズの格子に分割し,精度保証付き計算を用いてダイナミクスの情報を組み合わせ多価写像として表現して外近似を得ることができる.これに対してさらにグラフ・アルゴリズムなどを用いて力学系のMorse分解を求め,その各Morse成分に対してホモロジー計算によってそのConley指数の情報を力学系の大域的構造として格納し,データベースとして活用する方法をデータベース・スキーマと呼び,そのための方法の基礎付けを行った.さらにこのデータベース・スキーマをLeslieモデルと呼ばれる生物の個体数モデルに対して適用し,具体的なデータベースの構築を試みた.このデータベース・スキーマの方法は,より多様な数理モデルに対して適用でき,それらの大域的構造やパラメータに対する変化を解析するのに有効であると考えらるので,今後,この方法の更なる改良と発展を目指す. (2) 力学系の双曲性の位相計算的方法による検証:区間上で定義された1次元写像の1パラメータ族に対して,臨界点近傍の外での一様双曲性に関するManeの条件を満たすパラメータ集合を,グラフ・アルゴリズムと精度保証付き数値計算を用いて求める方法を与えた.また,それを実際に2次関数の場合に適用して,その一様双曲性の強さとパラメータの関係を示すいくつかの計算結果を得た.これらの結果は,1次元写像の振舞いに対する統計的性質と密接に関係しており,これを基にして正のLyapunov数や絶対連続な不変測度の存在するパラメータ集合の計算機援用解析への第一歩となる結果であると考えられる.
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Research Products
(4 results)