2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 肇 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20178982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 寛仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90260413)
石川 貴嗣 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40400220)
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Keywords | ペンタクォーク / ストレンジネス / 電磁カロリメータ / STBリング / 固体重水素 / CsIクリスタル検出器 / BSOクリスタル検出器 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に従って実験の準備を着々と進めた。ペンタクォークバリオンΘ^+に関する実験については、荷電粒子スペクトロメータの建設がこの研究の重要なステップである。まず、120トンの電磁石に通電し、所定の磁場が得られていることを確認した。又、この電磁石の励磁によって加速中の電子ビームに影響が現れることがわかり、これに対して電子ビーム軌道の補正を行う等、必要な処置を施した。一方、新荷電粒子スペクトロメータの各パートの製作・テストは順調に進んだ。トリガー用ホドスコープを電磁石に装着し、ビームによるテストを行い、十分な性能を確認した。現在、直径1.6mの円筒形ドリフトチェンバを完成させ、種々のテストを行っている。このドリフトチェンバは、2層ずつ5グループのセルに分かれており、センスワイヤの本数は1191本である。質量分解能を向上させるために傾斜したセルを2グループ配置している。このまま順調に準備が進められれば、予定通り18年度夏から秋にかけてγd→ΛΘ^+の実験を開始することができる。なお、本年度末にはGeV光子ビーム標識化装置の改造を行った。この改造は、STBリング加速器の一部であるビーム偏向部の真空チェンバを改造するものであった。すべてうまく行き、入射光子のエネルギーとして0.85GeV【less than or equal】E_γ【less than or equal】1.15GeVの範囲を連続に用いることができるようになった。これは、上記の反応γd→ΛΘ^+の実験にとっては不可欠の改造である。 ストレンジネスを露には含まないペンタクォークバリオンに関する実験については、本年度は研究計画通りに予備実験を行った。まず、80mmの厚さの固体重水素標的の製作に成功し、I_γ【approximately equal】2×10^7photons/sのビーム強度で約2週間の連続実験を成功させた。実験データは現在解析中で、バックグラウンドの低減等、来年度実施される本実験のセットアップデザインに活かす予定である。なお、上記予備実験の後に、すべての実験装置を取り払い、本実験のための実験装置の建設にとりかかっている。まず、約30トンの電磁石を実験室に設置し、SPring-8から移設した後方用電磁カロリメータの組み立てを開始した。この電磁カロリメータは、内径60cm、外形160cmの大型のもので、30〜100度の極角を覆う。カロリメータの各セグメントは、鉛シンチレーティングファイバーのブロックで、全部で252本組み込まれる。さらに、予備実験で使用した約200本のCsIクリスタル検出器で前方5〜20度を軸対称に覆う予定である。本年度は、これら2種類の電磁カロリメータの架台を新たに建設し、設置した。又並行して、電磁カロリメータ増強の一環として、BSOクリスタル検出器の開発を行った。
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