2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 敏光 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 名誉教授 (80011500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤石 義紀 日本大学, 理工学部, 客員教授 (50001839)
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Keywords | K中間子核 / 少数多体系 / 高密度核 / 超強核力 / ハイトラーロンドン / 分子的原子核 |
Research Abstract |
K中間子核の最も基本的な単位であるK-ppについて,徹底的な理論的研究を行った。KN-πΣチャネル結合から導き出されたKN複素ポテンシャルを用いた3体問題の解から,K-pp系のエネルギー,幅が求められたのみならず,波動関数から構造の特徴が明らかにされた。その他の研究活動を要約すると, 1)K-ppは,K-が2個の陽子の問を回遊し,あたかも水素分子のような系をつくる。強いK-p引力のため,K-はどちらかの陽子と結合した「原子」K-pを構成し,そのK-が回遊することにより大きな結合力が生まれるという機構が明らかにされた。これは従来の「仮想湯川中間子の媒介による核力」という考え方と全く異なる新しい核凝縮力であり,われわれはSuper Strong Nuclear Forceと名付け,論文に発表した。 2)この系を実験的に作りだすため,p+p->K++K-ppという反応が有効であることを明らかにした。その機構は,pp反応の短距離性が高密度系のK-ppの生成を助長するところにある。シグナルおよびバックグラウンドの反応断面積,実験方法のシミュレーションを行い,実験を提案した。 3)この実験的探索はドイツGSI研究所のFOPI測定器を用いて行うことが既に認められ,準備が進められている。 (4)10年前にサクレーのSATURNE加速器で他の目的のために行われた実験データの中に,上記の反応が含まれていることに注目し,大量の実験データの解析を行いつつある。K-ppの生成を示唆して興味深く,また今後の実験の計画に寄与するところが大きい。 5)最近,われわれの予言するK-pp系を他のグループがFaddeev法で計算し,より深く幅の広い準位を予言している。われわれは,この計算のポール解は実験的に観測可能な準位ではないことを明らかにした。 6)Osetらによって始められWeiseらによって宣伝されているラムダ1405共鳴の二重ポール解釈の問題点を明らかにした。
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Research Products
(3 results)