2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (70162386)
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Keywords | 高次元時空 / ブラックホール / ブレーンワールド / インフレーション宇宙 / 暗黒エネルギー / 宇宙背景輻射 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果に基づき,分担者各人がそれぞれ担当する項目の研究を進めた。その結果,高次元時空理論の検証に結びつく具体的観測量をいくつか提唱することに成功した。具体的成果は以下通りである。佐々木は非線形δN形式に基づいて,宇宙背景輻射(CMB)の非ガウス性を示唆する観測データを説明するインフレーションモデルを提唱した。横山は4次元有効理論に現れるディラトン場の時間変化による微細構造定数の時間変化に関してCMBの非等方性データを使って検証し,その時間変化が強く制限されることを示した。小玉は高次元ブラックホールの大域的構造と安定性について研究し,小質量極限で高次元ブレーンワールドモデルのおけるブラックホール解の存在条件を導出し,正則かつ因果律を破る負の質量をもつ真空ソリトン時空解の構成や,反ド・ジッター的な回転ブラックホールが増幅反射現象により不安定性を起こす条件を解明した。田中はブレーンに局在した静的ブラックホール解の非存在仮説に関する研究を進め,この仮説のKarch-Randallブレーンワールドと呼ばれる漸近的反ド・ジッターモデルへの拡張が成り立つことを示した。早田は弦理論の低エネルギー有効理論への高次補正がインフレーション理論にもたらす効果を定量的に評価し,その観測的重要性を明らかにした。また非等方インフレーション宇宙モデルを構築しCMBの統計的な非等方性の存在を予言した。中尾は宇宙の加速膨張を示唆する観測データを宇宙の非一様性によって説明する可能性を示した。柴田は高速度ブラックホールの衝突に対する数値シミュレーションを実行し,ブラックホールが合体するためのインパクトファクターを決定した。
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Research Products
(19 results)