2006 Fiscal Year Annual Research Report
大強度ミューオン源を用いたミューオン・レプトン・フレーバー非保存探索の発展
Project/Area Number |
17340077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 正治 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (80290849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 良孝 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (30170020)
田中 真伸 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (00222117)
五十嵐 洋一 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50311121)
佐藤 朗 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (40362610)
能町 正治 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (90208299)
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Keywords | 素粒子実験 / 放射線計測 / レプトン・フレーバ非保存 / ミューオン / レプトン普遍性 / ミューオン・電子転換 |
Research Abstract |
検出器の読み出し回路の枠組みとして、高エネルギー加速器研究機構で開発されたCOPPERシステムに着目し、500MHz FADCカードを使用したシステムの構築を行った。 標準のCOPPER用500MHz FADCカードではゲート信号の間だけ波形情報を記録する方式であったが、これでは取り込む信号よりも先にゲート信号を作る必要があり非現実的であった。そこでこれを改造し、波形情報は常時とりこみながらトリガー信号のタイミングから過去8μ秒までさかのぼった波形情報を外部へ記録できるようにした。これによって、大強度ビームを用いた実験環境下であってもパイルアップを含めた詳細な波形情報を収集できるようになった。 また、複数のFADCを同期して動作させるため、同期クロックを外部から供給するモジュールを新規に作製した。COPPERと外部のデータ収集トリガー系を結びつけるインターフェースロジックを、FPGAを用いたVME汎用ロジックボードを用いて作製した。内部クロックに同期して動作するFPGAを用いながらも、VHDLの記述を工夫する事によりトリガータイミングの時間情報を保存することに成功した。 以上のコンポーネントを結合して、素粒子実験用の波形情報記録システムとして安定に動作させる事に成功した。 また、本システムの動作確認のため、TRIUMFで準備中であったπ^+→e^+ν崩壊分岐比測定実験のビームテストへ参加した。プラスチックシンチレータを本システムで読み出し、π^+→μ^+ν、μ^+→e^+ν_eν_μ崩壊チェインからなる複数の波形情報を解析し、同崩壊モードを同定する事に成功した。なお、π^+→e^+ν崩壊分岐比測定実験はレプトン・フレーバ非保存の物理とも極めて関連が深い。ミューオン・レプトン・フレーバ非保存探索の一つの発展の方向として大変に興味深いと考える。 ミューオン・電子転換過程探索実験を早期に実現するため、位相空間回転リングを排した新しい実験装置を検討した。
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