2007 Fiscal Year Annual Research Report
極限状態でのクォーク・グルーオン系-超高温・超高密度QCDの国際共同研究
Project/Area Number |
17340080
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 純 Hiroshima University, 情報メディア教育研究センター, 教授 (30130876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 知宏 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 准教授 (80301307)
国広 悌二 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (20153314)
初田 哲男 東京大学, 大学院・理学系研究課, 教授 (20192700)
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (10259872)
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Keywords | クォーク / グルーオン / QGP / 閉じ込め / QCD |
Research Abstract |
RHICで有限温度、有限密度の物質が生成され、その理論的理解、特に格子QCDによう第一原理計算による理解が重要となっている。我々はそのせん断粘性係数が非常に小さいことを格子QCDにより示し、実験データの解析から示唆されている粘性係数ゼロの完全流体に近いことを明らかにした。今年度はさらに体積粘性率を格子QCDにより計算し、有限ではあるが、ほぼゼロに近い値であることを見出した。 また高温ではクォークの閉じ込めが破れることが期待されており、低温での閉じ込め機構を理解することが重要である。そのために、物理的なゲージであるクーロンゲージを使用し、閉じ込めにおいてその振る舞いが重要な役割をすると考えられているファデーエフ・ポポフ演算子の固有値の温度依存性を調べた。その結果、予想されていたようなゼロ近傍固有値の急激な減少は観測されず、閉じ込め・非閉じ込め相転移が単純なものではないことが強く示唆された。 またクォーク自身の直接の振る舞いを調べるために、クォークプロパゲータを測定し、低温の閉じ込め相、高温での非閉じ込め相での振る舞いを調べた。クォークの質量は閉じ込め相、非閉じ込め相では大きく異なり、また特に閉じ込め相では通常の形では数値データをフィットできず、非物理的粒子の振る舞いが見られた。 また、擬スカラー中間子のパリティ対称粒子であり、有限温度では同じ質量を持つことが期待されるスカラー中間子のうち、ストレンジを含むカッパ中間子の質量を格子QCDにより計算し、現在実験で見つかっている粒子は質量が大きく異なり、おそらく異なる機構で作られていることを示した。 上記の問題に対し、今後、さらに大規模なシミュレーションを行うために、新しいアーキテクチャアであるCELLの上での格子QCDコードの開発を進めた。
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Research Products
(6 results)