2005 Fiscal Year Annual Research Report
電子混成の連続制御による新しいf電子相の創出と、高圧赤外分光による直接観察
Project/Area Number |
17340096
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡村 英一 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (00273756)
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Keywords | 重い電子系 / f電子 / 高圧 / 赤外分光 |
Research Abstract |
本研究においては、特にf電子系物質(希土類元素を含む化合物)を主な対象として、常圧から40GPa(約40万気圧)程度までの外部圧力によって格子定数を連続的に変化させ、電子混成強度を連続的に制御し、新規な物性および電子状態を探索することを目的とする。電子状態を調べる実験手法としては、赤外分光を用いる。この様な高圧力における赤外分光を行うため、実験はSPring-8の赤外ビームラインBL43IRに設置された、高圧顕微赤外分光装置を用いて行う。そして圧力によって電子混成が連続チューニングされたときのミクロな電子状態の変化を詳しく調べる。初年度の経過としては、最初の測定対象として単体Yb金属を取り上げ、室温において20GPaまでの圧力下で赤外分光測定を行った。金属YbにおけるYbの価数は常圧、常温では2+であり、4f殻は満たされていて磁気モーメントは存在しない。しかし加圧と共にYbの価数が2+から3+に近づいて行くことが過去に報告されており、これはf正孔の立場から記述すると、加圧によってc-f混成が弱くなってf正孔が徐々に局在していくためと推察される。その電子状態の変化を赤外スペクトルの変化として調べた。その結果、常圧から18GPaまでの赤外スペクトルに大きな変化を見いだした。特に0.1-0.3eVのエネルギー領域に大きなくぼみが発達しており、これは加圧によるc-f混成の変化を反映したものと考えられる。今後より高圧のスペクトル測定を行うための高圧発生セル、ダイヤモンドアンビルなどの購入、調整も初年度に既に済ませた。この装置を用いて、次年度は最高40GPaまでの高圧赤外分光測定を行う予定である。
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Research Products
(5 results)