2005 Fiscal Year Annual Research Report
疎結合スピングラスモデルにおけるレプリカ対称性の破れに関する研究
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17340116
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
樺島 祥介 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (80260652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 孝治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (80282606)
井上 真郷 早稲田大学, 理工学術院, 専任講師 (70376953)
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Keywords | スピングラス / レプリカ対称性の破れ / AT解析 / 信念伝搬 / サーベイ伝搬 / レプリカ法 / モンテカルロ法 / 低密度パリティ検査符号 |
Research Abstract |
1)単一サンプル系に対するレプリカ法の拡張(主に樺島) 従来,凍結されたランダムネスに関する配位平均を評価する手法として用いられていたレプリカ法を,配位平均を評価する前の1つのサンプル系に対して拡張した枠組み「レプリカ拡張」を与えた.この枠組みを平均場近似の一種であるベーテ近似に当てはめるとMezardらにより提唱されているサーベイ伝搬(SP)が導出されることを示した.この成果はJPSJ74,2133-2136,(2005)に発表されている.また,レプリカ拡張の枠組みでは,レプリカ非対称解とは本来統計的に独立であるべきレプリカ間に相関が生じた状態として特徴付けられる.この特徴付けに沿って,1つのサンプル系に対しレプリカ対称解周りでの1段階レプリカ非対称解方向への安定性解析が可能となることを示した.SKモデルに対してはこの解析が熱力学的極限においていわゆるAT解析と一致することを確認した.この成果は平成18年3月第61回日本物理学会年次大会で発表される. 2)モンテカルロ法に基づくレプリカ対称性の破れの解析(主に福島) SPでは空孔場の分布と有効場の分布がある有効指数を含む関係式で結ばれる.この有効指数は1段階のレプリカ非対称性を特徴づけると考えられるが,それがどのような原理で定まるのか未だ明らかにされていない.そこで,SPの結果とモンテカルロ法の結果を比較することにより,有効指数を定める原理について考察した.この成果は平成17年9月パリで開催された日仏セミナー「Recent progress in glassy physics」で発表された. 3)疎結合モデルにおけるループの除去法についての研究(主に井上) 数値解析の精度を向上させるための予備的な工夫を行なった.これまでの研究により,数値解析が可能なスピン数が〜千程度の疎結合モデルに対しては,ナイーブに生成したサンプルでは自己ループの影響が強く,精度の高いデータを得るのが難しいということがわかっている.そこで,短いループを効率的に除去し比較的小さなシステムに対して精度の高いデータが採取できるようなアルゴリズムを開発した.また,その効果を疎結合スピングラスモデルの一種と見なすことができる低密度パリティ検査符号に適用し,アルゴリズムの有効性を確認した.これに関連した小システムに対する復号法の成果は平成17年9月アデレードで開催された国際会議ISIT2005にて発表された.
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Research Products
(6 results)