2006 Fiscal Year Annual Research Report
疎結合スピングラスモデルにおけるレプリカ対称性の破れに関する研究
Project/Area Number |
17340116
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
樺島 祥介 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教授 (80260652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 孝治 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (80282606)
井上 真郷 早稲田大学, 理工学術院, 専任講師 (70376953)
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Keywords | スピングラス / 疎結合系 / レプリカ対称性の破れ / AT不安定性 / スピングラス帯磁率行列 / サーベイ伝搬 |
Research Abstract |
疎結合スピングラスモデルのレプリカ対称性の破れに関する知見を得るために以下の研究を行った. (1)疎グラフ上の誤り訂正符号におけるサーベイ伝搬の解析(主に樺島) 疎なグラフで表現される誤り訂正符号は強磁性結合にバイアスのかかった疎結合スピングラスモデルと解釈できる.実際このモデルでは低温で強磁性ながらレプリカ対称性の破れた混合相が存在する.最近,この相に対応する条件では,サーベイ伝搬と呼ばれる1段階レプリカ非対称仮定に基づいた平均場近似が従来の近似的復号法を凌ぐという実験結果が先行研究によって報告されている.本研究では,その振る舞いの理由を理論的ならびに数値的な方法を併用して解析した.その結果,性能改善の起源はAT条件が破れた際にはレプリカ対称性を破って構成した解の方がより大きな磁化を示す傾向にあるためである,という結論を得た.この成果はJ.Phys A 39 10659-10672(2006)として公表されている. (2)スピングラス帯磁率行列の固有値解析によるAT不安定性(主に樺島・福島) 疎結合スピングラスも含めた一般のスピングラス模型のAT不安定性は,スピングラス帯磁率行列の第一固有値の特異性として自然に定式化されることがわかった.そこで全結合モデルをテストケースと調べ,磁場中の相転移温度で発散傾向を示すことがわかった.疎結合模型への展開を試みている.この成果は日本物理学会(西千葉,2007)にて発表された. (3)疎結合モデルの主成分分析による解析(主に井上) 低密度パリティ検査符号を用いて,疎結合スピングラスモデルの振る舞いを解析した.主成分分析による解析では,全結合モデルと同じく,スピングラス相にて特徴的な三角形形成が見られた.また,磁場の大きさに依存して,この三角形の大きさが変化するということが新たに分かった.この成果はInterdisciplinary Information Sciences(2007)にて公表される予定である.
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Research Products
(6 results)