2007 Fiscal Year Annual Research Report
疎結合スピングラスモデルにおけるレプリカ対称性の破れに関する研究
Project/Area Number |
17340116
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
樺島 祥介 Tokyo Institute of Technology, 総合理工学研究科, 教授 (80260652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 孝治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (80282606)
井上 真郷 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70376953)
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Keywords | スピングラス / 疎結合系 / レプリカ対称性の破れ / AT不安定性 / スピングラス帯磁率行列 / サーベイ伝搬 |
Research Abstract |
本研究の目的は磁場あり疎結合平均場SG模型に関するレプリカ対称性の破れの知見を深めること,特にそれを検知するためde Almelda-Thouless(AT)条件を実際的に評価する方法を多角的に検討することである.最終年度にあたる今年度は取りまとめを念頭におき以下の研究を実施した. (1)ケーリー木上のBPに基づくAT線の評価 ケーリー木上の信念伝搬(BP)の振る舞いを解析することによりAT線の評価を行った.ボンド数C=4の2体相互作用の±Jスピングラス模型(|J|=1/√4=1/2に規格化した模型)に対し,外部磁場h=0,0.1,0.2に対してAT条件の破れる温度の予想値T_<AT>=0.759(理論解),0.72(数値解),0.62(数値解)をそれぞれ得た. (2)ベーテ自由エネルギーの最小化に基づくヘシアン解析 疎結合の平均場スピングラス模型はべーテ近似で精度よく近似できると予想されている.全結合の平均場スビングラス模型での知見によるとAT条件は自由エネルギーのヘシアンがゼロ固有値を持つことに対応していると考えられる.そこで昨年度得られたべーテ自由エネルギーを局所最小化するアルゴリズムに基づきベーテ近似解を効率的に探索しヘシアンの最小固有値を統計解析した.その結果,(1)のBPによる予想値と矛盾しない結果を得た. (3)スピングラス帯磁率行列の固有値解析によるAT線の検出 大規模なモンテカルロ実験を実施し,帯磁率行列の第一固有値λ,スピングラス帯磁率行列の第一固有値λ_<SG>,スピングラス帯磁率行列の対角和χ_<SG>の3つ指標を用いてAT線の検出を試みた.その結果,磁場のある系においてはλ_<SG>が比較した3つの指標の中で最も良好なデータを示すという結果を得た.また,λ_<SG>基づいて得られた数値データは(1)の予想値と矛盾しないものであった.
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Research Products
(3 results)