2008 Fiscal Year Annual Research Report
液晶におけるパターン形成の解明-ソフトモード乱流と一般化揺動定理
Project/Area Number |
17340119
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授 (20112295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 芳樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (70274511)
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Keywords | 非線形物理学 / 非平衡統計物理学 / 自己組織化 / 物性基礎論 |
Research Abstract |
本研究では、非平衡開放系の散逸構造の示す非線形揺動の統計力学的な性質を、揺動散逸定理を中心とした平衡あるいは線形非平衡系で確立されてきた統計力学とのアナロジーにより明らかにすることを目的としている。研究対象である液晶電気対流系では、液晶分子の配向制御によって連続回転対称性をもつ系をつくることができ、その対称性の破れに伴って生じる時空カオスであるソフトモード乱流を揺動としてとらえる観点から研究を行ってきた。本研究ではさらに次のような研究成果を得た。 ソフトモード乱流中に見られる特徴的な線状パターン「Black Line」に注目し、偏光観察により、Black Lineがソフトモード乱流の揺動により自発的に形成された液晶配向場の線状構造であることがわかった。ソフトモード乱流中の液晶配向場は、南部-ゴールドストーン・モードの効果により、本来点欠陥しか存在できない2次元XY系として振る舞う。したがって線状のBlack Lineが存在することとの矛盾が生じたが、対流場と配向場の緩和時間の違いを利用した詳細な実験により、Black Lineがソフトモード乱流の非線形揺動の効果によって点欠陥が線状に引き延ばされた擬似的線欠陥であることが明らかとなった。また、Black Lineの線密度の印加電圧の周波数依存性の測定により、Black Lineが対流場と配向場の相互作用における対称性の破れによって生じていることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)