2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340125
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内田 努 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70356575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷原 一寿 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40153746)
永山 昌史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70374585)
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Keywords | 細胞 / 水 / 構造化 / 活動電位 / 包接水和物 / 麻酔 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、神経細胞や心筋細胞、及びそれらの細胞内外に生成される構造化した水を対象として、水が細胞の信号伝達に果たす役割やメカニズムを明らかにすることを目標とする。そのために平成17年度は、1)「細胞ネットワークの信号伝達に及ぼす温度及び包接化合物生成気体の影響観察」及び2)「細胞間隙において構造化した水の観察技術の開発」という2つの研究課題を設定した。 まず本研究を進める上で中心となる多電極型細胞信号測定装置を導入した。そして本装置で細胞の信号伝達情報を取得するための技術的課題を抽出し、その解決に努めた。次に研究の基準データとなる通常培養条件(温度約37℃、常圧、湿度100%、CO_2濃度5%を含む空気環境)下における神経細胞や心筋細胞の伝達信号の測定を行った。その後、両細胞の活動電位の温度依存性を観測した。通常培養温度からその他の条件を一定に保ちつつ、温度を降下・上昇させながら活動電位の変化を観測した結果、低温になるに従って細胞の活動が抑制され、温度変化に対してヒステリシスを持って活動電位が変化することが明らかになった。この知見は独立した研究成果でもあるが、今後包接水和物の効果を明らかにするための基準データとしても重要である。 一方水の構造化を観測する手法の開発として、今年度は細胞を直接観測する予備実験として、生体保護物質でもある糖(トレハロース)の水溶液を使って電子顕微鏡観察を行った。糖水溶液を急速凍結し、フリーズレプリカ法を用いて糖と水との相互作用を観測した結果、二糖類の一種であるトレハロースは数十nm程度の凝集体として水溶液中に存在している可能性が示唆された。この成果については学会や研究会等で発表し、国内外の研究者と議論を行った。これらの議論や収集した情報をもとに、現在論文化に向けて準備を進めている。
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