2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340125
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
内田 努 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (70356575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷原 一寿 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (40153746)
永山 昌史 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (70374585)
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Keywords | 細胞 / 水 / 構造化 / 活動電位 / 包接水和物 / 麻酔 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、神経細胞や心筋細胞、及びそれらの細胞内外に生成される構造化した水を対象として、水が細胞の信号伝達に果たす役割やメカニズムを明らかにすることを目標とする。そのために平成18年度は、1)「細胞ネットワークの信号伝達に及ぼす圧力及び包接水和物生成気体の影響観察」及び2)「構造化した水の電子顕微鏡観察と細胞の凍結技術開発」という2つの研究課題を実施した。 昨年度導入した多電極型細胞信号測定装置を用い、特に心筋細胞に対して常温・高圧条件下における活動状態の変化を観測した。温度約37℃の下、CO_2を濃度5%で含む空気を大気圧以上の加圧条件下に置き、心筋細胞(培養6日目)の拍動状況の変化を観測したところ、0.5MPaまでの加圧条件下では常圧下とほぼ同等の活動を維持した。しかし0.5MPa以上になると拍動数が低下し、常圧に戻すと拍動数は復活したが拍動運動に異常が見られた。そして0.9MPaまで加圧すると拍動は停止し、抜圧後も拍動は復活しなかった。次に包接水和物生成物質であるキセノンガスを添加する実験を行った。その結果、キセノンガスが心筋細胞の拍動を抑制する効果があることを見出した。現在これらの知見を、特許化・論文化する準備を進めている。 一方構造化した水を電子顕微鏡で観測する手法の開発では、昨年度行ったトレハロース水溶液のフリーズレプリカ試料の電子顕微鏡観察結果を論文化した。さらにこの現象を実体で観測するため、クライオトランスファーホルダを用いた氷試料の透過型電子顕微鏡による直接観測法を開発した。そして氷単結晶試料上にレプリカ試料で観測された数十nmの微粒子と同等の物体を確認した。また水構造化装置を導入し、包接水和物の直接観測法の開発に着手した。培養細胞試料の電子顕微鏡観測法については、細胞の凍結保存方法の検討を進め、トレハロースなどの凍結保護剤を用いた神経細胞の凍結保存法を開発した(論文印刷中)。そして電子顕微鏡による観測手法の開発に着手した。
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