2005 Fiscal Year Annual Research Report
深層海洋大循環の解明に向けた乱流ホットスポットの定量化
Project/Area Number |
17340139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日比谷 紀之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80192714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (10193393)
北出 裕二郎 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (50281001)
羽角 博康 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (40311641)
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Keywords | 鉛直乱流拡散係数 / 乱流ホットスポット / グローバルマップ / 緯度依存性 / 内部潮汐波 / 深海乱流計 / 深層海洋大循環 / 近慣性流シアー |
Research Abstract |
深層海洋大循環モデルの高精度化には鉛直乱流拡散係数のグローバル分布の解明が不可欠な課題となる。海洋物理学に残されたこの最大の不確定要素を解決するため、研究代表者らは、投棄式流速計を用いて北太平洋の広範囲に展開した乱流観測の結果とグローバルな内部潮汐波モデル/大気起源慣性重力波モデルとをリンクさせることで、鉛直乱流拡散係数のグローバルマップを提唱した(Hibiya et al.,2006)。本年度は、このグローバルマップの有効性を検証するため、我が国では初となる深海乱流計(アレック電子(株)製)を用いて、北太平洋の代表的な地点における乱流強度の直接観測を行った。 観測は北海道大学水産学部・おしょろ丸の北洋航海(2005年7-8月)と父島航海(2005年11月)において、どちらも振幅の大きな内部潮汐波の発生域でありながら、グローバルマップ上では鉛直乱流拡散係数が10^<-5>m^2s^<-1>オーダーとなるアリューシャン海嶺付近と、10^<-4>m^2s^<-1>オーダーとなる伊豆小笠原海嶺おローバルマップ上では鉛直乱流拡散よびハワイ海嶺付近で行われた。観測の結果、ハワイ海域や伊豆小笠原海域においては、鉛直シアー分布に多数のパッチ構造がみられ、鉛直乱流拡散係数は10^<-3>m^2s^<-1>に達していることがわかった。特に、1000m以深で鉛直乱流拡散係数を平均してみると0.8×10^<-4>m^2s^<-1>となった。一方、アリューシャン海域においては、鉛直シアー分布に顕著な構造は認められず、鉛直乱流拡散係数は、全深度にわたって10^<-5>m^2s^<-1>のオーダーで、0.2×10^<-4>m^2s^<-1>を超える値はみられなかった。他の地点での乱流観測からもグローバルマップと整合的な結果が得られ、その有効性が確認された。 今後は、深海乱流計による観測をさらに広範囲に展開し、鉛直乱流拡散係数のグローバルマップの有効性を、より詳細に検証していく予定である。
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Research Products
(9 results)