2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本海深海底コアの高密度な放射化分析によるアルカリ岩質テフラ降下履歴の高感度検出
Project/Area Number |
17340148
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
豊田 和弘 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助教授 (10207649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池原 研 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究グループ長 (40356423)
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Keywords | マイクロテフラ / 白頭山 / 鬱陵島 / アルカリ岩 / 日本海 / 放射化分析 / 微量元素分析 / 堆積物コア |
Research Abstract |
離れた場所の堆積層中に挟まれた同一の火山灰層は広い地域内での厳密な同一時間面を示す鍵層として貴重な情報である。日本の広域テフラの中でも、特殊な化学成分を持つ大陸火山起源のアルカリ岩質テフラは韓国の鬱陵島と中国国境の白頭山からの放出物に限られる。さらに、約1万年前の鬱陵隠岐テフラ(U-Oki)と約千年前の白頭山苫小牧(Bm-T)以外の噴火は小規模なため、肉眼では判別できないほど薄い未知の層(クリプトテフラ)が多数枚あると想像されているにすぎない。本研究では放射化分析によりクリプトテフラを検出して、日本海全域における過去10万年間のアルカリ岩テフラの降下履歴と分布域を調べる事を目的としている。 平成17年度には、琵琶湖と水月湖の堆積物コアからU-Okiよりさらに数百年前の層から化学的異常層を検出した(JQSという学術雑誌に投稿中)。平成18年度には、日本海南部の4本のコア中の、前述の湖コアで検出された層に対応すると思われる異常層の試料中から抽出したテフラ粒をEPMA測定する事で、その層の異常が確かにアルカリ岩質テフラの降下事件に由来する事を証明した。また、約8千年前の鬱陵島の噴火に対応すると考えられる異常層を検出して、EPMAでその推論の正しいことを確認した。さらに、本手法はアルカリ岩質テフラだけでなく、約7千年前に降下した非アルカリ岩質の鬼界アカホヤ(K-Ah)のクリプトテフラ検出にも有効である事を示した。これらの成果はApplied Geochemistryという学術雑誌に投稿準備中である。 他にも、日本海南部コア中の過去2万年前〜9万年前の層からは数回の鬱陵島由来の異常層を検出した。また、日本海北東部域の5つのコアからは、約3万年前の白頭山起源と考えられるテフラを含めて数回の異常層が検出されており、次年度ではこれらの試料中からテフラ粒を抽出して詳しく検討する。
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