Research Abstract |
1.アトバシ,アクチュツ,マクバル地域のエクロジャイトおよび関連する高圧・超高圧変成岩およびアトバシ地域の礫岩中の変成岩礫について,変成鉱物の化学組成をX線マイクロアナライザーを用いて分析し,地質温度圧力計,熱力学的手法を用いて各変成ステージの形成温度圧力条件を解明した. 2.アトバシ地域には広域変成帯(Choloktor Formation)としてのエクロジャイトとCholoktor Formationの上に断層を介して重なる礫岩層中の礫としてのエクロジャイトが見いだされた.Choloktor Formation中のエクロジャイトは藍閃石片岩相からエクロジャイト相への昇温期変成作用を受けており,そのピーク変成作用は圧力15kb以上,温度500-660℃の条件を示す.一方,エクロジャイト礫はエクロジャイト相変成作用(圧力15kb以上,温度490-590℃)の後,藍閃石片岩相-緑れん石角閃岩相-緑色片岩相という2回目の高圧変成作用を受けている.したがって,Choloktor Formationのエクロジャイトと礫岩のエクロジャイトは全く異なる変成作用を受けており,古生代の間に少なくとも2回の高圧変成作用があった. 3.マクバル地域,Neldy Formationのエクロジャイトはエクロジャイト相変成作用(圧力12kb以上,温度480-570℃)の後,藍閃石片岩相から緑れん石角閃岩相への2回目の高圧変成作用を受けている.一方,Makbal Formationのエクロジャイトは圧力15kb以上,温度540-620℃のエクロジャイト相変成作用の後,藍閃石片岩相の昇温期変成作用を受けている.タルク-ざくろ石-クロリトイド岩はざくろ石中にコース石が包有物として見つかり,UHP変成作用が確実になった.また,同じざくろ石中のモナザイトのEPMAによるその場CHIME年代測定の結果は480Maを示し,基質または分離したモナザイトと同じ年代を示した. 4.これらの研究成果について日本鉱物科学会(9月・東京),日本地質学会(9月・札幌)その他の学会において発表を行った.また,雑誌論文として8件の出版,2件を投稿中,4件を国際誌投稿に向けて原稿執筆中である.
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