2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340150
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
狩野 彰宏 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60231263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 隆実 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00090548)
村山 雅史 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 准教授 (50261350)
坂井 三郎 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (90359175)
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Keywords | トゥファ / 鍾乳石 / 古気候解析 / 安定同位体 / 微量元素 |
Research Abstract |
淡水成炭酸塩堆積物であるトゥファを題材に,陸域古気候を定量的かつ高解像度で解析する「トゥファ古気候学」を展開するために,岡山県阿哲台などに分布する堆積場において採集した水や堆積物試料を分析・観察した。その結果,以下の知見をあきらかにした.1)トゥファの炭素安定同位体比は土壌層および地下水系での気相の拡散に支配されている。2)トゥファ堆積物中の放射性炭素同位体比は大気の組成にかなり近いので,放射性炭素年代の適用が可能である(Hori, et. al.,2008).3)琉球列島のトゥファ試料の高い炭素同位体比はサトウキビに富む植生を反映したものと考えられる(Kano, et. al.,2007)。 また,古気候記録を解読するために,広島県帝釈峡の遺跡試料の中に含まれるカワニナ遺物の解析を行い,約5千年前に寒冷化があった事を示した(狩野ほか,印刷中)。 さらに,広島県北東部の鍾乳石試料(石筍)の解析も進めた。この試料の年代測定は台湾国立大学の沈博士の実験室で行った.その結果,以下の結論が得られた。1)1万8千〜1万6千7百年前に見られる炭素同位体値とMg/Ca比のパラレルな漸減傾向は,地下水滞留時間の短縮と滴下速度の増大によるもので,この時期の降水量増加を示している。2)1万5千年前の顕著な酸素同位体値の低下はグリーンランド氷床コアや中国の石筍記録の変化と同じタイミングであり,汎世界的温暖化を反映している。酸素同位体値から見積もられる気温の増加幅は6℃である。3)1万2千9百〜1万1千5百年前の汎世界的寒冷期での酸素同位体値の増加幅は,中国の石筍で見られる変動幅の1/4と軽微であり,この時期の寒冷化は日本列島ではそれほど厳しくなかった可能性が高い。
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Research Products
(4 results)