2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯の微小磨耗痕および安定同位体と微量元素に基づいた束柱類の食性復元
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17340156
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
甲能 直樹 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 地学研究部, 研究主幹 (20250136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽 創 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (50260344)
米田 穰 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
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Keywords | 束柱類 / 食性 / 微小磨耗痕 / 安定同位体 / 微量元素 |
Research Abstract |
本研究の目的は,北太平洋沿岸域の前期漸新世後期〜中期中新世後期に知られる束柱類の頭蓋と下顎骨および多数の歯を材料に用いて,(1)咀嚼における顎運動の機能形態学的復元に加えて,(2)歯の表面に残された微小摩耗痕に基づいて,基本的な咀嚼運動の方向の推定を行ない,(3)歯のエナメル質の炭酸塩鉱物の酸素と炭素それぞれの安定同位体比から生息環境と索餌内容を推定し,さらに(4)食物連鎖の中での栄養段階(トロフィックレベル)の指標となるストロンチウムなどの微量元素量を検索することで,束柱類の食性,ひいては束柱類の生活史に関して最終的な解答を得ることを目的とする. 本年度は,引続き国立科学博物館に設置した超深度形状測定顕微鏡(VK-8510)を用いて,束柱類の歯の咀嚼面の精密なキャストの三次元デジタルデータから咬合面のフラクタルデータを作成し,データ解析ソフトを用いて顎運動の類型化と索餌対象の絞り込みを行なった.また,前臼歯および臼歯標本から微量元素ストロンチウムの分析結果を追加した.さらに,束柱類の頭蓋,特に口蓋部の機能形態学的解析をより定量的に行なうため,既知の頭蓋標本の計測値に基づいた口蓋形態の類型化を行なった.以上の結果,.束柱類は基本的には汽水域を生息域としていたものの,デスモスチルスは機能形態学的に水中での吸引行動を用いた索餌に,パレオパラドキシアは水面での切歯を用いた索餌により適応していたことが強く示唆された.また,微量元素の分析結果からデスモスチルスはパレオパラドキシアよりも栄養段階の高い餌資源を利用していたことが確実なことから,デスモスチルスは潟の底生動物食へ,パレオパラドキシアが潟の植物食へと同一環境下で異なる食性へと特化していたことがほぼ明らかとなった.
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Research Products
(1 results)