2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17350006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河内 宣之 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (50161873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 昌史 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20291065)
小田切 丈 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80282820)
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Keywords | 一電子平均場近似 / Born-Oppenheimer近似 / 多電子励起分子 / 同時計数法 / 光子対生成 / NO / NH_3 |
Research Abstract |
多電子励起分子では、一電子平均場近似やBorn-Oppenheimer近似が、基底電子状態や低い励起電子状態に比べて、ずっと成り立ちにくいと考えられる。その結果、特徴ある多彩なダイナミクスが出現すると期待される。本研究では、放射光および単色電子衝突を励起源として用い、多電子励起分子を探索し、その量子ダイナミクスを解明する。 『放射光実験』 前年度に引き続き、NO分子を対象として1光子吸収-2光子放出実験を行った。入射光子エネルギー25-50eVの領域で、高い精度で光子対放出角度2重微分断面積を測定した。断面積曲線には、多くのピークが観測されたが、解析の結果、それらはいずれも、これまで未知であったNO多電子励起状態に由来することがわかった。前年度に実験をしたO_2と同じく、二重イオン化しきい値付近にて断面積が急激に落ち込む現象が観測された。このことは、ある非常に狭いエネルギー範囲で自動イオン化確率が急激に上昇することを意味しており、きわめて興味深い。 『単色電子衝突実験』 入射電子エネルギー100eV、電子散乱角8度にてLyman-α光子で標識したNH_3の電子エネルギー損失スペクトルをエネルギー損失15-50eVの領域で測定した。スペクトル中に、一つの1電子励起状態と三つの二電子励起状態、さらに1電子励起状態と2電子励起状態が配置混合した一つの状態の、都合5つの超励起状態を新たに発見した。光子との相互作用と比べて、電子との相互作用は、1電子励起に対する2電子励起の割合を増進させることがわかった。このことは電子との相互作用の特異性として極めて興味深い。
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Research Products
(9 results)