2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドレート・過冷却水・ガラス中の溶存状態とダイナミクスに関する光化学的研究
Project/Area Number |
17350010
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Research Institution | Toyota Physical & Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
岡田 正 (財)豊田理化学研究所, フェロー (40029442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 美治 財団法人豊田理化学研究所, 豊田中央研究所・分析・計測部, 部長 (60394392)
稲垣 伸二 財団法人豊田理化学研究所, 豊田中央研究所・フロンティア研究部門, グループリーダー (30374086)
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Keywords | ベンゼンハイドレート / 有機-無機ハイブリッドメソ多孔体 / 発光特性 |
Research Abstract |
最も基本的な芳香族分子であるベンゼンおよびその有機分子錯体と水分子との分子間相互作用を調べる。キセノンをヘルプガスとするベンゼンハイドレートをリファレンスとして,ベンゼン水溶液やその過冷却状態,メソ細孔中のベンゼンと水および細孔壁との相互作用を光化学的手法によって測定し,溶存状態の特徴,励起状態におけるダイナミクスを明らかにすることを目的として研究した。 1.ベンゼンおよび重ベンゼンのハイドレートのラマンスペクトル,蛍光スペクトル,蛍光寿命を測定し整理した。4相(気相,ベンゼン相,水相,ハイドレート相)共存曲線と共に公表する。 2.有機-無機ハイブリッドメソ多孔体の基本的な系であるフェニレンシリカメソ多孔体の壁面の励起状態ダイナミクスを明らかにする目的で,蛍光量子収率,蛍光スペクトルの温度依存性,時間分解蛍光スペクトル,蛍光減衰曲線の波長依存性などを測定した。壁面に沿った励起状態のマイグレーション過程を幾つかのモデルを用いて解析することを試みた。 3.メソ多孔体中のベンゼンおよびベンゼン水溶液の蛍光スペクトル・蛍光減衰曲線の温度効果を測定し,シリケート細孔壁にあると考えられる構造欠陥との相互作用,エネルギー移動が重要な過程であることが判ってきた。 4.ラマン分光手法によって,メソ多孔体中の水とベンゼン水溶液で水の構造が異なることを示唆する結果を得た。5%重水混合水を用いてより詳しい測定を進める。 5.18年度に購入した実験装置および重点的に整備した装置に関しては,以下の通りである。 (1)クライオスタット:オックスフォード社,Opti8tat-DNを予定通り購入し,室温から液体窒素温度(77K)まで0.1℃の安定度で長時間測定が可能である。 (2)ピコ秒時間相関光子計数システムの整備:クライオスタットをはじめ種々の測定試料を効率よく測定するため,各種セルホルダー,波長板,非線形結晶,ミラー類,ステージ類を充実させた。
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Research Products
(2 results)