2007 Fiscal Year Annual Research Report
高原子価ビスマスの酸化力を利用した高効率酸化反応および重合反応の開発
Project/Area Number |
17350018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
俣野 善博 Kyoto University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40231592)
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Keywords | ビスマス / 高原子価 / アルコール / 酸化 / 光重合開始剤 / ビニルエーテル / エポキシド / カチオン重合 |
Research Abstract |
本申請課題では、ビスマスの特徴が最大限に発揮された効率的な単位反応の開発をめざし、「高原子価有機ビスマス化合物を用いた高効率酸化反応および重合反応の開発」を課題として研究を進めてきた。本年度においては、当初目的として掲げた課題のうち、特に『ビスムトニウム塩を開始剤とする光カチオン重合』に重点をおき、さまざまな角度から検討を行った。まず、ピレニル基を有するAr3(Pyr)BiX化合物(ビスムトニウム塩)の光分解反応を詳細に調べた。アセトニトリル中、高圧水銀灯を用いて数分間光照射を行うと、ビスマス-炭素結合のホモリティックな開裂が進行し、トリアリールビスマス(Ar3Bi)、ピレン(PyrH)、およびプロトン酸(HX)がいずれも高い収率で生成することが明らかとなった。そこで、シクロヘキセンオキシドとビスムトニウム塩(基質に対して0.1mol%)を用いてさまざまな条件下で光カチオン重合を検討した。反応は高圧水銀灯で1〜2分間光,照射を行うだけで完結し、オキシラン環の開環重合が進行してポリマーが得られる。反応の収率と重合度は対アニオンの求核性に強く依存し、ヘキサフルオロアンチモナートを用いた場合に最も高い効率が得られた。得られた知見をもとに、他のモノマー(オキシラン、ビニルエーテル)についても同様の検討を行い、ピレニルビスムトニウム塩が光カチオン重合開始剤として高い潜在能力を持つことを明かにした。
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Research Products
(4 results)