2006 Fiscal Year Annual Research Report
高周期典型元素がもたらすビラジカル化学の新展開:新しい分子構造の構築
Project/Area Number |
17350019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安倍 学 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30273577)
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Keywords | ビラジカル / スピン多重度 / スピン化学 / 量子化学計算 / 分子構造 / 反応性中間体 |
Research Abstract |
・長寿命1,3-ビラジカルの分子設計:量子化学計算を用いた理論的予測 1,3-ビラジカルの4,5位に窒素原子を導入する事で、より一重項状態が安定化する事を見出した。これは、窒素原子による一重項ビラジカルの更なる安定化で説明できる。また、窒素元素を含んだ化合物が合成的に容易であるので、本研究目的を達成するために極めて重要な知見であった。 ・長寿命一重項 1,3-ビラジカルの発生 理論的な分子設計にもとづき、実験的に長寿命一重項ビラジカルの発生を行った。具体的には、シクロペンタン1,3-ビラジカルの4,5位に窒素原子を有するビラジカルの前駆体となるアゾ化合物を合成し、その脱窒素反応を行い一重項ビラジカルの発生を試みた。寿命の測定には、過渡吸収スペクトルを用いた。その結果、約10ミリ秒の寿命を有する一重項ビラジカルの発生に成功した。さらには、その長寿命化された一重項ビラジカルの分子間反応を試みたところ、トリアゾリンジオンが一重項ビラジカルを捕捉した付加環化生成物の単離に成功した。その構造はX線結晶構造解析により決定し、かご状トリシクロ環骨格を有することが明らかになった。この研究では、これまで分子内反応の中間体としてのみ考えられてきた一重項ビラジカルを分子間反応の中間体として用いることが出来る事を初めて明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Experimental Prob for Hyperconjugative Resonance Contribution in Stabilizing the Singlet State of 2,2-Dialkoxy-l,3-diyls : Regioselective 1,2-Oxygen Migration2006
Author(s)
Abe, M., Hattori, M., Takegami, A., Masuyama, A., Seki, S., Tagawa, S.
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc. 128・24
Pages: 8008-8014
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