2005 Fiscal Year Annual Research Report
同一の不斉源から両方の鏡像体を高選択的に得る不斉触媒反応系の構築
Project/Area Number |
17350020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 昌彦 神戸大学, 理学部, 教授 (60192704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
網井 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (00284084)
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Keywords | 光学活性 / シッフ塩基 / 鏡像体 / 不斉触媒 / 不斉合成 |
Research Abstract |
鏡像体間で生理活性が異なる場合が多いことはよく知られている。一方の光学異性体が望ましい生理活性を示すのに対し、もう一方が活性を示さない場合もあれば、望ましい鏡像体の生理活性を阻害したり、好ましくない生理活性を示す場合もある。医薬品あるいは中間体合成を指向する不斉触媒反応では、両方の鏡像体を高い光学純度でつくりわけることが必要である。両方の鏡像体を得ることはR体の触媒を使うかS体の触媒を使うか選択することでつくりわけができる。不斉反応に用いられる触媒の多くは、天然のアミノ酸由来、あるいは天然の光学活性カルボン酸や糖質由来のもので、天然型からつくられたものは問題ないが、非天然型から誘導する場合、非常に高価になったり、合成困難になったりする。 それに対して、今回われわれが合成した二つの配位子は天然のアミノ酸であるL-セリン由来の不斉触媒で両方の鏡像体のつくりわけが可能である。具体的にはわれわれが合成したオキサゾリンを含む新規な光学活性シッフ塩基配位子-チタン化合物はジケテンのアルデヒドへのエナンチオ選択的付加反応において両鏡像体をいずれも90%eeを超える収率で5-ヒドロキシ-3-ケトエステルを与えた。ここで用いた配位子は天然のアミノ酸であるL-セリン由来の一つの不斉源から、同時に得られる二種類の不斉配位子はエナンチオマーの関係にはないが、いずれも高い不斉収率でそれぞれの逆の鏡像体を与える。 今後、本触媒の一般性が実証されれば、これまで一方のみの活性しか調べられなかった光学活性体の両鏡像体の生理活性を調べることが可能となる。
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Research Products
(7 results)