2006 Fiscal Year Annual Research Report
同一の不斉源から両方の鏡像体を高選択的に得る不斉触媒反応系の構築
Project/Area Number |
17350020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 昌彦 Kobe University, 理学部, 教授 (60192704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
網井 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (00284084)
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Keywords | 不斉合成 / 鏡像体 / シッフ塩基 / 光学純度 / 不斉アルキル化 |
Research Abstract |
本研究課題は、「不斉触媒合成研究」の一環である。これまでは、同一の不斉源から誘導した不斉配位子を用いれば生成物の絶対配置はR体かS体の一方であるのが普通常識であった。今回、私どもは、L-セリンから誘導される二種類の不斉配位子が,アルデヒドとジケテンの反応で光学活性5-ヒドロキシー3-ケトエステルのそれぞれの鏡像体を高選択的に与えることを見いだした。具体的には,アミノ酸由来のアミノアルコールおよびそれをサリチルアルデヒド誘導体と縮合させたシッフ塩基を合成する際、アミノアルコール部分をオキサゾリン型にしたところ同じキラリティをもつL-セリンから二種類の配位子が得られた。この二つの化合物はエナンチオマーではないが,幸運なことにいずれも,高い不斉収率で逆の絶対配置をもつ生成物が得られることがわかった。要するに単一の不斉源(L-セリン)から誘導した触媒を用いることで,同程度に高い不斉収率で両鏡像体を得ることに成功した。私たちの見い出した方法は単一のキラリティをもつL-セリンから生成物の両鏡像体ほぼ同程度の高い不斉収率で与える触媒(配位子)を合成するという従来に例を見ない新しい手法である。また、現在、両鏡像体の作り分けにはいたっていないが、サリチルケトンとアミノアルコールとを縮合して得られたシッフ塩基が、アルデヒドの不斉アルキル化反応の有効な触媒となることも新たに見いだした。これまで、ジアルキル亜鉛による不斉アルキル化反応では、もっぱら二座配位子のβ-アミノアルコールが用いられてきたが、シッフ塩基型三座配位子で初めて96%eeという高い不斉収率を達成した。この、不斉アルキル化反応についても、両鏡像体の作り分けの検討を行っている。
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Research Products
(8 results)