2005 Fiscal Year Annual Research Report
高歪み中員環構造を有する天然薬理活性ラクトン類の不斉全合成
Project/Area Number |
17350023
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
椎名 勇 東京理科大学, 理学部, 助教授 (40246690)
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Keywords | 天然薬理活性ラクトン / オクタラクチン / ボトチノリド / 中員環ラクトン / 不斉全合成 / アルドール反応 / ラクトン化 / 2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物 |
Research Abstract |
オクタラクチン類ならびにボトチノリド類は天然には稀な中員環ラクトン構造を有するポリオキシ化合物であり、これらの主骨格を構築する新手法の開発は非常に重要な研究テーマである。今回我々は独自の中員環ラクトン骨格形成手段である置換安息香酸無水物法を用いてこれらの全合成研究を行なったのでその概要をここに報告する。 オクタラクチンAは1991年に海洋産バクテリアより単離された抗腫瘍性8員環状ラクトンでありその合成研究が世界的に活発に行なわれた結果、これまでに4例の全合成が達成されている。我々は、不斉アルドール反応を駆使して調製した光学活性なポリオキシセコ酸の中員環ラクトン形成反応を鍵工程とすることにより、この分子の新しい全合成法を開発することができた。 2-エピボトチノリドは1996年に真菌類より単離された9員環状ラクトンであり、現在までのところ、この分子全体の絶対配置ならびに一部の不斉炭素の相対配置が明らかとされていない。またボトチノリド類は顕著な植物生長阻害活性を有するため、それらの人工合成法の開発が強く求められている状況である。我々は、プロピオン酸単位を繰り返し伸長して入手した鎖状前駆体の中員環ラクトン形成反応により、目的分子の基本骨格を良好な収率かつ高い化合物選択性で得ることに成功した。さらに、側鎖の両エナンチオマーをそれぞれ不斉合成し、これらとのカップリングを行い2-エピボトチノリドの標的構造を与える新規手法を明らかとした。
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