2007 Fiscal Year Annual Research Report
高歪み中員環構造を有する天然薬理活性ラクトン類の不斉全合成
Project/Area Number |
17350023
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
椎名 勇 Tokyo University of Science, 理学部, 教授 (40246690)
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Keywords | 5-エピメリリアニン / 三環性分子 / 7員環ラクトン / 高速縮合反応 / 不斉全合成 / 不斉アルドール反応 / ヨウ化サマリウム / 分子内カップリング |
Research Abstract |
メリリアニンは2002年にトウシキミの果皮より単離された三つの第4級不斉炭素を含む五つの連続した不斉中心を有する三環性のセスキテルペンであり、構造化学的および合成化学的に興味深い化合物である。我々は不斉アルドール反応およびヨウ化サマリウムによる分子内カップリング反応を鍵工程とする斬新な手法を用いることにより、メリリアニンならびにその類縁化合物の人工合成法の確立を試みた。まず、出発原料としてアキラルなトリオールを用い、3工程を経てジチアンへと誘導した。もう一方のフラグメントの合成については、不斉触媒により促進されるアルドール反応を活用して光学活性ヨード化合物の入手に成功した。引き続き、これらをジチアンカップリングにより連結して得られた化合物をアルデヒドへと誘導し、これに対して3炭素分の主鎖伸長を行い、生じたトランスオレフィンの脱保護を行うことで分子内にケトン部を有する不飽和エステルを合成した。次に得られたエステルの還元的な分子内カップリングを試みたところ、シクロペンタン置換体を完全なジアステレオ選択性をもって合成することができた。環化体の保護基を変換した後、セレノ化、続く酸化反応により不飽和エステルへと誘導した。その後、数工程を経て、不飽和5員環ラクトン部位を構築し、得られた環化前駆体に対して強塩基を作用させて分子内マイケル反応を行ったところ、メリリアニンの主骨格となる三環性化合物を合成することができた。6位炭素のアルデヒド基への変換、メチル基の導入、酸化を行いメチルケトンに導き、5-エピメリリアニンの不斉全合成を達成した。
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