2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17350025
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小宮 三四郎 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (00111667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 雅文 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (70251585)
小峰 伸之 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究部, 助手 (90302918)
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Keywords | 水溶性有機遷移金属錯体 / 水溶性ジメチル金(III)錯体 / 還元的脱離反応 / 水 |
Research Abstract |
水溶性有機遷移金属錯体を合成し、水中での反応性を明らかにすることは、既存の水中での遷移金属錯体触媒反応の機構を解明するだけでなく、新たな触媒反応を開発する上で重要な知見が得られると考えられる。本研究では水溶性ジメチル金(III)錯体を合成し、その水中での反応性について検討した。ジ-m-ヨードテトラメチル二金[AuMeI]_2とAu当たり1等量のジフェニルホスフィノベンゼン-3-スルホン酸1ナトリウム塩(TPPMS)との反応により、ジメチルヨード(TPPMS)金(III)錯体cis-AuMe_2I(TPPMS)を合成した(収率89%)。この錯体は、水中、30℃において、容易に還元的脱離が進行し、3時間後にはエタンが定量的に生成した。この時、メタンの生成は全く見られなかった。この事実から、ジメチルヨード(TPPMS)金(III)錯体は、水中において金-炭素結合は加水分解されず、還元的脱離のみが進行したものと考えられる。また、この錯体はTHF、アセトニトリル、エタノール、DMSOなどのいくつかの有機溶媒に可溶であり、これらの有機溶媒中、30℃での安定性について検討した結果、水中に比べ、いずれの有機溶媒中において、還元的脱離によるエタンの発生はほとんど見られなかった。以上の結果より、水溶性ジメチル金(III)錯体では、水中で加水分解に優先して還元的脱離が進行し、その速度は、有機溶媒中に比べて、極めて速く進行することが明らかとなった。
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