2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17350037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石黒 愼一 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (80111673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅林 泰宏 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (90311836)
神崎 亮 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (50363320)
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Keywords | イオン液体 / EMI^+ / TFSI^- / 分子コンフォメーション / ラマンスペクトル / 液体構造 / 溶液X線散乱 |
Research Abstract |
エチルメチルイミダゾリウム(EMI^+)イオンとビストリフロロスルホニル(TFSI^-)またはテトラフルオロボレート(BF_4^-)イオンからなる電解質は常温で液体であり、水や有機溶媒のような分子液体に対してイオン液体と呼ばれ、これらは代表的なイオン液体である。いずれのイオンも分子コンフォメーションの異なる2つの構造異性体からなっている。本研究では、溶液X線散乱、NMR、分子動力学シミュレーション等の手段で液体構造を研究した。液体構造は、イオン液体の粘性や電導性に直接関係するイオン集合体の物性である。イオン液体は粘性が比較的高くが高く、電導性を弱めていると考えられるが、具体的な情報はまだない。EMI^+TFSI^-イオン液体に関しては、X線散乱から分子内相互作用を差し引いて得られたイオンの動径分布関数から、EMI^+とTFSI^-イオンがいずれも同種イオンで直線的に配列していること、また、各イオンは同種イオンが配列した軸の直角方向で4つの異種イオンに囲まれた構造を有していることが示された。コンフォメーションによる構造の違いは殆どなく、結晶構造と大きな違いが認められた。分子動力学シムレーションでもこの構造が再現された。各イオンの運動軌跡を調べた結果、イオン液体は局所的に疑似格子を形成しており、格子点周りの狭い領域での運動が主で、格子点を越えた並進運動は余り起こらないことが示された。 一方、エチルアンモニウム(EtNH_2)とその誘導体と様々なアニオンからなるイオン液体を合成し、それらの構造と溶媒としての酸塩基性を調べた。酸塩基反応により溶媒としての自己解離定数を決定した。さらに様々な金属イオンの溶媒和構造を決定した。TFSI^-は2つの>SO_2基をもち、その塩基性は弱く、水溶液中での配位性はないが、イオン液体中では、2座配位した溶媒和イオンを形成することが示された。
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Research Products
(6 results)